小学館文庫<br> 夜ごとの揺り籠、舟、あるいは戦場

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小学館文庫
夜ごとの揺り籠、舟、あるいは戦場

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094061734
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

森瑤子復刊第二弾は大人の官能を描く衝撃作

小説家の私は、末娘の夜尿症などの問題行動を機に、半年ほどセラピストとの対話を続けていた。「母がしてくれなかったことを、自分の子供たちにしてあげよう」。そう思いながら子育てをしてきたがうまくいかず、家族との不協和音に自身の精神状態も追い詰められていた。夫との関係もずいぶん前から冷え切っていた私は、夫婦の再和合を目的に、南国の地へ旅に出かけるが、その旅先で夫と「情事」や女性の「性」について問答してしまう。セラピストとの会話を反芻し、現地の男とのエロティックな対話を経て、私は家庭内の問題や自身が抱える心の暗闇の原因に、幼少期の体験があったと気づき……。妻、母、そしてひとりの女として「性」と向き合い、自己を解放していく姿を大胆に描く。また1980年代当時にあたり前として認識されていた「あるべき母親の姿」を、真っ向から破壊した本書。既成の価値観にとらわれず、女の本能に切り込んだ革新的小説!

【編集担当からのおすすめ情報】
人気漫画家・エッセイストの柴門ふみさんが、熱烈に推薦する一冊。ご自身の作品にも影響を与えた森瑤子作品だという本書に、ロング特別解説を寄稿してくださいました。時を経てなお輝きつづける森作品の魅力を徹底解剖してくれるこの特別解説も、素晴らしい読み応えです。

森 瑤子[モリ ヨウコ]
著・文・その他

内容説明

小説家の私は、末娘の問題行動を機に、半年ほどセラピストとの対話を続けていた。よき母親を目指してきたが、家族との不協和音に自身の精神状態も追い詰められていた。夫婦の再和合を目的に、南国の地へ旅に出かけるものの、その旅先で夫と問答してしまう私。セラピストとの会話を反芻し、現地の男とのエロティックな対話や経るうち、家庭内の問題や、自身が抱える心の闇の根源に気づくが…。妻、母、そしてひとりの女として「性」と向き合い、既成の価値感から自己を解放していく姿を大胆に描いた革新的小説!

著者等紹介

森瑤子[モリヨウコ]
1940年静岡県生まれ。東京藝大卒業後、コピーライターとして広告代理店で勤務。1978年「情事」で第2回すばる文学賞を受賞し作家デビュー。1993年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

49
3冊目の森瑶子。この作品、初刊はバブル景気前の昭和後期、1983年。剣悪状態になった夫婦仲を再生するためにマレーシアを訪れる。そのたった一日を描いた物語。主人公の実母との葛藤の記憶、夫との諍い、セラピストとのやり取り・・が淡々と綴られる。これらの話が、過去と現在が入り混じって急転回する文体に慣れるまで戸惑った。陰惨な母娘関係の場面は読むのが辛かった。本音と建前の両面が見て取れる、延々と繰り返される夫婦の「性愛」への不平不満の議論は、女のしぶとさが何とも面白かった。印象に残る大人の夫婦を描いた小説を読んだ。2015/08/10

ねこまんま

34
相当昔に読んだなあ。 森瑤子作品は、当時、夢中になって読んだ割には、自分が若かったせいか、良く分からない部分が多かった。 再読してみて、なんかしっくりと納得できてしまった自分に驚いている。 亡くなった彼女の年齢に近づきつつある。 久しぶりに読んで良かったので、他の作品も再読してみよう。2016/07/24

ヒロセ

12
夫婦の性の不一致に関する会話から始まり、カウンセラーと女性の対話の中で、現在と過去が入り混じり、結果、どこからが夢で、何が現実だったのか、そして、この女性は救われたのか、一度読んだだけでは消化しきれない内容でした。主人公の女性と少なからず似た境遇や、体験、感情を抱くことは誰にでもあり得るので、ドキッとする言葉が節々にありました。2020/03/24

ころころむし

3
森瑤子を初めて読んだ。復刊文庫第2作とある。このあとも続くのだろう。30年以上も前に書かれたこと、ある女性の一日を描いたこと、母親と娘の関係について書かれていることなどこちらがうろたえてしまいそうになる。 会話の部分が独特で思った以上だ。 一日の間に私たちの頭の中ではこんなに様々なことを思い描いて、結論をだしていくものか。こんな一日をもうあと何十年も過ごすのか。 薦めてくださった方に感謝。 2015/07/10

Kiichiro YASUHARA

2
結婚後家族に愛情表現できず後悔と反省と後ろめたさの自覚で苦しまない日はないという自己嫌悪で行き詰った主人公がセラピストに通う。ほぼ私小説で森瑤子がこれを書いたのは43歳だった。文庫の最後にある中村真一郎との対談で「井戸を掘る」(ねじまき鳥的表現だ)と言っているが、まさにそういうことをやってのけ、一人の人間の深淵を見る思いがする。読者は女性が多いのだろうが、男がもっと読むべきだと思った。愉しい小説ではないが妻の何かに触れる機会を与えられるだろう。森瑤子はセラピーを受けて抑圧を解き小説で殻を破ることになった。2020/12/28

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