出版社内容情報
極悪非道の代表として語られてきた黒駒の勝蔵の真実の姿は?
本書が「昭和元禄などと言われて久しい」時期に執筆された点において重要な意味を持つ。それは概ね、戦後日本の高度経済成長が頂点を極める一方で、社会の抱える様々な矛盾が露呈した時期に当たっている。その繁栄に与して甘い汁を貪った者と、その繁栄から取り残された者たちが、確実にいたはずである。そして作者の視点が、社会の底辺で時代の転換期に巻き込まれた民衆の視点から維新を眺めようとすることにあった。 その過程で浮かび上がって来たのが「清水の次郎長は海道一の大親分で、敵対する勝蔵は極悪邪道の悪党」──という図式に対する疑問であった。縄田一男(『解説』より)
内容説明
本書が「昭和元禄などと言われて久しい」時期に執筆された点において重要な意味を持つ。それは概ね、戦後日本の高度経済成長が頂点を極める一方で、社会の抱える様々な矛盾が露呈した時期に当たっている。その繁栄に与して甘い汁を貪った者と、その繁栄から取り残された者たちが、確実にいたはずである。そして作者の視点が、社会の底辺で時代の転換期に巻き込まれた民衆の視点から維新を眺めようとすることにあった。その過程で浮かび上って来たのが「清水の次郎長は海道一の大親分で、敵対する勝蔵は極悪邪道の悪党」―という図式に対する疑問であった。清水の次長郎は汚ねえ!黒駒の勝蔵の真実の姿は―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさ影
1
清水次郎長の敵役として有名な黒駒勝蔵を破滅型ヒーローとして描く2017/08/21
Peter-John
0
佐高信と高橋敏夫の『藤沢周平と山本周五郎』のおススメ本。 通常は清水次郎長に敵対する悪役の黒駒勝蔵を淡々と乾いた筆致で描いています。 博打うちには喧嘩が付きもの。喧嘩には人殺しが付きもの。人殺しはお上が許しません。となると、逃げなければならないので、旅から旅へと渡り鳥の生活になるというメカニズムがわかります。 それと幕末には博打うちが勤皇の志士になるのですね。それで勝蔵もということになるのですが、勝ってしまうと暇で、金山探しで帰隊が遅れ、脱走兵として斬に処されるのです。不条理です。2019/06/23