出版社内容情報
オールカラー図版で味わう水木ワールド
妖怪研究家としても知られる著者が、「憑物」について考察。日本各地に起こった、古今東西の憑依現象を独自に解釈し、見事に絵画化した。豊かな想像力から紡ぎ出される伸びやかな筆さばきと巧みな語り口が、我々を異界へと誘ってやまない。図版をオールカラーにして、50音順に配列。上巻は「青鷺火」から「三味長老」まで。下巻は「十二神将」から「悪い風」まで。
内容説明
多くの妖怪漫画を描き、妖怪研究家としても知られる著者が、「憑物」について考察。日本各地に起こった、古今東西の憑依現象を独自に解釈し、見事に絵画化した。豊かな想像力から紡ぎ出される伸びやかな筆さばきと巧みな語り口が、我々を異界の世界へと誘ってやまない。文庫化にあたって、図版をオールカラーにした決定版。全二巻。下巻は、「十二神将」から「悪い風」までを収録。
目次
十二神将
人面犬
スイカツラ
袖もぎ様
そんつる
大山の狐神
但馬の騒霊
狸憑き
狸憑き―高橋の六兵衛
狸の婚礼〔ほか〕
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル]
1922年生まれ。鳥取県境港市で育つ。太平洋戦争時、激戦地であるラバウルに出征し、爆撃を受け左腕を失う。復員後、紙芝居画家となり、その後、貸本漫画家に転向。1965年、「別冊少年マガジン」に発表した『テレビくん』で第六回講談社児童まんが賞を受賞
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感想・レビュー
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夜間飛行
56
何と濃密な世界だろう。我々はどうする術もなく憑物を受け入れてきたのだなあと、ため息が出そうな気分になった。スイカツラ、そんつる、狐憑き、ネブッチョウのように代々家に憑く奴はたいてい呪術と関わっており、憎い相手を苦しめ滅ぼす手段に使われたようだ。水木さんの画は、おぞましくも後ろ暗い情念が家にも路傍の石にもこびりついているように見せながら、とぼけた味がそれを浄化している。恐怖に歪む人の表情もどこか大らかだ。目を剝き、口を歪め、腰を抜かしている彼らこそ我々の仲間であり、異界がそこにあると教えてくれる先達なのだ。2017/04/30
かおりんご
26
積読崩し。この本をたまたま古本市で見つけて購入した私グッジョブ。どのページも妖怪に対する愛があふれてました。街に暗闇が少なくなり、妖怪が消えてしまった感がありましたが、妖怪はまだいるんじゃないかと、そう思えてよかったです。個人的には出会いたくはないですが、日本人の妖怪文化は残していくべきだと感じました。2023/02/12
矢代
7
心が平常運行に戻って行きます。幸せだ。2015/05/25
Haru
1
上巻に続き、下巻も、正体のないものの正体を描く試みから産み出された、水木しげる的憑物画の世界が満載でした。一枚一枚、じっくり楽しみたい一冊です。濃厚な憑物画を味わったあとの、小松和彦さんのすっきりした解説が、中華料理のあとの杏仁豆腐のようでした。2017/12/29
寺内町亭小天狗
1
上巻の続編。本書に記述している憑物に、「だらし」がある。「だらし」とは「餓鬼憑き」のことで、空腹感を抱いているのは「だらし」が取り憑いているからだという。現代社会は飽食な時代であるから、余程のことがない場合、空腹感を抱くことはない。食べ物の有り難味を知る・実感するには、たまに「だらし」に取り憑いてもらいことです。上下巻を読んでいますと、憑物―霊―は、文明の利器が発達した現代社会にも存在する気がします。此の世で目に見えないモノを粗末すれば、憑物が自分に現れるのはないか。それを、大切にしたいものです。