出版社内容情報
日本医科大学救急救命センターを中心に、患者、医師、看護婦が苦闘するERの現状を易出した渾身ルポタージュ。
日本のER(救急医療)の現状を初めて本格的にルポルタージュした本書は、刊行以降10年を経た現在も、いまだなお「日本のERの今」を照らし出している。文庫化にあたって、著者はこの10年間の変わらない「落差」を強く意識しながら、改訂を行った。「DOA(心拍停止)」「レベル300(痛み刺激への無反応)」で運び込まれた患者は、どんな救命医療を受けるのか? 著者が提示した問題点は、今もなお日本のERを告発しつづける。
内容説明
アメリカでは50%を超すといわれるDOA患者の救命率が、日本ではこの10年でわずかに3%から6%へと伸びたにすぎない。DOA(DEAD ON ARRIVAL=心肺停止)状態に陥った重傷・重症の患者が次々と運び込まれてくる救急センター。その最前線、日本医科大学付属病院救命救急センターを中心に、一万時間もの取材を積み重ねて日本のERをルポルタージュし、日本の救急医療問題の所在を照らした画期的な作品。そのルポルタージュを、十年を経て新たに加筆訂正し、合わせて現在の問題点を付記した。「最高の医学、最低の救急医療」と問いかけた著者の問いが、いま十年の重みをもって改めて問い直されなければならない。
目次
第1章 深夜0時の救命救急センター
第2章 生還
第3章 32万5千回の中に消えた真実
第4章 心臓が停止する瞬間
第5章 エマージェンシィ・ナース
第6章 脳死判定基準への疑問
第7章 転送されてきた患者
第8章 最高の医学、最低の救急医療
第9章 お願い、助けて…
終章 生存率三パーセント