唐牛伝―敗者の戦後漂流

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  • サイズ B6判/ページ数 395p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093897679
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

革命なんて、しゃらくせえ!

「昭和の妖怪」岸信介と対峙し、
「聖女」樺美智子の十字架を背負い、
「三代目山口組組長」田岡一雄と
「最後の黒幕」田中清玄の寵愛を受け、
「思想界の巨人」吉本隆明と共闘し、
「不随の病院王」徳田虎雄の参謀になった
全学連元委員長、47年の軌跡。

ノンフィクション作家・佐野眞一が北は紋別、南は沖縄まで足を運び、1984年に物故した60年安保のカリスマの心奥を描く。

「唐牛健太郎を書くことは私自身の過去を見つめ直す骨がらみの仕事だった」――著者3年ぶりの本格評伝



プロローグ
第一章 装甲車を乗り越えよ
第二章 革命前夜
第三章 闇に蠢く
第四章 逃避行
第五章 闘士たちのその後
第六章 与論・紋別・喜界島
第七章 名もなき死
あとがき



佐野 眞一[サノ シンイチ]

内容説明

六〇年安保を闘った若者たちは、「祭り」が終わると社会に戻り、高度経済成長を享受した。だが、唐牛健太郎だけはヨットスクール経営、居酒屋店主、漁師と職を変え、日本中を漂流した。なぜ彼は、何者かになることを拒否したのか。ノンフィクション作家・佐野眞一が北は紋別、南は沖縄まで足を運び、一九八四年に物故した全学連元委員長の心奥を描く。

目次

第1章 装甲車を乗り越えよ
第2章 革命前夜
第3章 闇に蠢く
第4章 逃避行
第5章 闘士たちのその後
第6章 与論・紋別・喜界島
第7章 名もなき死

著者等紹介

佐野眞一[サノシンイチ]
1947年、東京生まれ。97年『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。09年『甘粕正彦 乱心の曠野』で講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

94
60年安保の全学連委員長であり、類稀なリーダーと言われた唐牛健太郎の軌跡を追った作品である。多くの若者たちが 政治の季節が終わると、社会復帰し高度経済成長を謳歌する中、 唐牛は日本中を漂流した。元全学連委員長という重い十字架を背負って まるで死場所を 求めるかのように流転し、47歳で無名の死を 遂げた彼の人生をセンティメンタルに描く。2024/07/12

とくけんちょ

63
全学連委員長の生き様。悪く言えば、好き勝手に生きた男の人生。しかし、その太く短い生き様には、純粋さから生まれる計り知れない熱情を感じる。人を惹きつける魅力というものは、疑うことを知らない、混じりっ気のない想いに基づくのかもしれない。思いを行動に移す。その動機に偽りはなし。人はもっとわがままでいいのかもしれない。そう思わされた。2020/07/04

翔亀

47
60年安保の国会デモの頂点に立っていた(文字通り先頭に立って国会に突入した)ブント=全学連委員長の唐牛健太郎は当時23才だった。たった数か月の委員長時代のカリスマぶりは際立っていた。しかし、その後の人生は、エスタブリッシュの道を歩んだ同志の西部邁(のち保守主義の学者)や青木昌彦(のち米国有数の経済学者)と違って、世の中から姿を消した。与論島へ紋別へと漂流し、単なる呑兵衛とも言われた。私が唐牛の名を知った時は、<オホーツクの漁師>として伝説のみが流布されていた。↓2017/02/19

koji

20
佐野さんの作品は「別海からきた女」以来。読書当時は、週刊朝日事件で佐野さんが強いパッシングを受けていた頃。愛読者だけに、その迂闊さへの腹立たしさと共に日本の闇を抉る力を惜しみ復活を願っていると書きました。本書は、実質復帰作。「中核VS革マル」、「私の1960年代」は読みましたが、60年安保はすっぽり抜けていました。当時は日本のナショナリズム(引き揚げ者の子弟等)の残滓がデモの高揚に顕われていたという指摘が腹に落ちました。佐野節は戻っていますが、唐牛で1冊書くのは少々きつかったかという感じ。次回作に期待。2017/08/28

kawa

19
読み物としては、60年安保闘争以後の左右の著名人やアウトローが登場し、映像化してもらいたいくらい面白いし、あとがきも秀逸。しかし、唐牛氏が「栄光の全学連委員長」という束縛から生涯逃れられなかったような筆致は、自分の感性から言うと受け入れ難い(たくない)し、そもそも氏は敗者なのだろうか。冒頭の官権に逮捕された際とガン再発時の最後の写真に氏の人生の全てが凝縮しているのではないかなと思う。2017/02/20

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