出版社内容情報
岸本重陳を相手に語られたガルブレイス思想
「社会主義」という対抗パワーがなくなった今、「資本主義社会」は、地球環境、南北問題など人類生存を左右する難問に直面している。「社会主義」の挑戦を受けることによって変容を遂げてきた資本主義社会は、はたしてこの最大の危機を乗り超えることができるのか。ガルブレイス教授は「練直したイデオロギーではなく、プラグマティカル(実際的)思考が人類共存の鍵となると、説く。
内容説明
20世紀を代表する経済学者が日本人のために著した今世紀最後の予言書。
目次
第1章 世界新秩序―レトリックを越えて、真の内容を
第2章 湾岸戦争―空軍力神話はよみがえるか
第3章 経済決定論はなぜ不人気か…豊かな国が平和を享受し、貧しい国が戦争に打ちひしがれている
第4章 環境主義と21世紀人類共存―「豊かな社会」は、いま何をなすべきか
第5章 ソ連・東欧の破綻―「マルクス主義」ではなく「官僚制」の問題
第6章 病める資本主義―勝利したのは「混合経済体制」
第7章 日本改造の処方箋―「日本に挑戦されたアメリカ」と「アジアに挑戦される日本」の対立の深層
第8章 高度化された欲望と地球環境―次世代のために何を残すか
第9章 日本の不安―思想なき政治家の「憲法改正論」は世界に通用しない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
22
著者の専門である経済よりも国際政治の色が濃い一冊です。自分と考えが異なる部分はありますが、視野の広さや視点の明確さは参考になります。第5、7、9章が面白かったです。2022/05/06
CCC
8
アメリカは父ブッシュ政権時代。ベルリンの壁は崩壊したばかり。湾岸戦争さなか、ソ連崩壊直前の時期で、世界情勢や経済について語っている。8割くらい対談形式。冷戦の対立構造がなくなりつつあり次がどうなるかわからない、そんな時代の雰囲気が感じられた。今から見ればガルブレイスは外国人労働者の問題や産業の空洞化など、部分的にはいやに楽観的なところがあって、ところどころ訳者兼対談相手の岸本の方が現実的に思えたが、環境問題など悲観的に見ている部分もあり、そうしたところから重視してるポイントが見えて面白いなと思った。2022/09/17
脳疣沼
1
ブックオフにて購入。対談本なので、それほど中身が詰まっているわけではないが、ガルブレイスが凄い人であったことはよく分かった。なんというか大局観がすごいというかなんというか。こういうインテリ層がいる国というのは強いよなあと思わせる。日本は本書から三十年も経っているのに、いまだに誰か先生(アメリカだったり、ヨーロッパだったり)に教えてもらいたがってる生徒みたいである。高齢化著しい日本にガルブレイスのような爺さんはどれほど居るだろうか?2022/05/31
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