空が、赤く、焼けて―原爆で死にゆく子たちとの8日間

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  • サイズ B6判/ページ数 144p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093884280
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

ヒロシマで逝った子どもたちの最期の言葉

瀬戸内の島で原爆投下の8月6日を迎えた奥田貞子さんは、翌日広島に入り8日間、兄の子どもたちを探して市内を駆け巡ります。その間、市内で会った子どもたちの死に立ち会うことになり、死を前にした子どもたちの様子を克明に日記に残しました。
『原爆の子』が生き残った子どもたちの記録として貴重であると同様、亡くなった名もない子どもたちの記録として語り継がれなくてはいけない。これは、その唯一の書です。
「正子はいい、もう痛くない、おじいちゃんに薬つけて」/「お母様にもあげようよ」「お母様には、お兄ちゃんのを残しておくから、みどりは心配しないでお食べ」/「私はもうダメだから、おばさんの子におにぎりをあげてください」。子どもが苦痛に耐えながら、こんなことを言えるのか、というほどの神々しい言葉を遺して子どもたちは、亡くなっていったのです。
戦争の悲惨にどう自分が居合わせたか、そして何も出来なかったか、を突きつけられた著者の悲痛な叫びが、戦後70年経ったいま、読む者にもその真実を忘れるな、と、突きつけてきます。
巻末に、重松清氏による寄稿「ささやかでなければ、伝えられないこと」。

この本について/はじめに 奥田貞子/待っていた兄と妹/優しい正子ちゃん/とんちゃんとお母さん/お母さんとネンネした坊や4/お母さんのメガネ/ふたりの中学生/小さな命はあっけなく消えた/橋のたもとの寝顔/戦争さえなかったら/ゆりちゃんも連れてって/真っ赤な口の中/学校に行きたかった少年/雄一はどこへ行った/一つだけ泊まったら帰ってくると言ったのに/チカちゃんという三歳の子どもと私との、戦争中の生活の一部を聞いてください/終わりに/「ささやかでなければ、伝えられないこと」重松 清

内容説明

瀬戸内の島で原爆投下の8月6日を迎えた著者は、その翌日、広島にわたり、兄の子どもたちを探して町中を巡ります。これは、そこで出会った子どもたちの死に立ち会い、彼らの最期の言葉を克明に綴った日記です。

目次

待っていた兄と妹
優しい正子ちゃん
とんちゃんとお母さん
お母さんとネンネした坊や
お母さんのメガネ
二人の中学生
小さな命はあっけなく消えた
橋のたもとの寝顔―戦争さえなかったら
「ゆりちゃんも連れてって」
真っ赤な口の中
学校へ行こうとした少年―雄一はどこへ行った
島に帰ってからの話 一つだけ泊まったら帰ってくると言ったのに
戦争中の話 チカちゃんという三歳の子どもと私との、戦争中の生活の一部を聞いてください

著者等紹介

奥田貞子[オクダテイコ]
1914~2011年。広島県豊田郡大長村(現・呉市豊町大長)生まれ。1960年から晩年は、山形県小国町の「基督教独立学園高等学校」教諭。原爆投下直後の広島市内で8日間にわたり、甥、姪を探し回った。その8日間を記した当時の日記を、1979年4月に『ほのぐらい灯心を消すことなく』として自費出版。版を重ねた。享年96(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヒラP@ehon.gohon

14
原爆投下後の広島で、身内の人を捜し歩いた8日感の生々しい記録です。地獄絵図のようです。戦争は残酷です。2024/07/22

絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく 

14
奥田貞子さんの実体験。原爆投下後のヒロシマの様子、感じ取ったことが日記として綴ってあります。最初は自費出版(ほのぐらい灯心を消すことなく)されたそうです。挿絵の無いこの本は、文章だけで酷さが想像でき、涙が出て怒りを覚えます。-安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬからー これはみんなの願い、そして有言実行すべきことですね。『待っていた兄と妹・優しい正子ちゃん・とんちゃんとお母さん・お母さんとネンネした坊や・お母さんのメガネ・二人の中学生・小さな命はあっけなく消えた・橋のたもとの寝顔→2019/09/30

みー

13
ここには地獄があった。そして確かな「生」もあった。一人一人の物語もあった。悲しみと怒り。希望はなく、深い深い絶望という暗がりのなか・・見上げた空は赤く燃えるようなな夕焼け空だった・・。戦争がなければ、この夕焼けはどんなに美しい事だろう・・希望も持って見上げる事が出来ただろう。戦争がなければ、どれだけの小さな命が助かっただろう。小さなこの子達のどこに罪があるのだろう。なぜこんなにも辛く酷い死に方をしなければならないのだろう・・そんな状況でも、「愛」を持ち死んでいった人達の無念に心が鷲掴みにされる思いだ・・。2015/10/23

みとん

6
広島に原爆が落ちたあと、甥と姪を探しに広島の町を歩いた奥田さんの体験記。兄の子を探して歩くうちに、様々な人たちに出会う奥田さん。しかし、全身火傷や傷だらけ、そして原爆症によって死にゆく人たちの姿がリアルに書かれています。小さな子どもたちの死に優しく寄り添う奥田さん。この日記を「焼き捨ててしまいたい」と思ったこともあったそうです。出会った人ごとに章が分かれているので『いしぶみ 広島二中~』よりも読みやすいけど、もう少しふりがなを振ってくれると、小学校高学年が読めるかな。甥と姪には出会えたのでしょうか?2019/07/02

A.yukari

5
涙が止まらなくなりました。著者が、肉親を探しに原爆投下直後の広島に入り、過ごした8日間の記録。シリア難民の幼子の、浜辺に打ち上げられた映像が世界中に衝撃を与えたように、何の罪もなく、無邪気で、未来にあふれていたはずの子どもたちの死は、やるせなく、ただただ悲しい。この小さな本に、平和の尊さが詰まっている。死んでいることがわからず、お母さんとネンネすると言って泣いていた3歳の子。お母さんの手を握らせて、寝かせてあげた著者の奥田さん。この子はきっと、安らかにお母さんの元に旅立ったのだろうと願わずにはいられない。2015/09/26

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