十字架のカルテ

知念 実希人【著】

小学館（2020/03発売）

• サイズ B6判／ページ数 302p／高さ 19cm
• 商品コード 9784093865722
• NDC分類 913.6
• Cコード C0093

出版社内容情報

最注目ミステリー作家が挑む、究極の頭脳戦

正確な鑑定のためにはあらゆる手を尽くす――日本有数の精神鑑定医・影山司の助手に志願した新人医師・弓削凛は、犯罪者の心の闇に対峙していく。究極の頭脳戦の果てに、影山が見据える未来とは。そして凛が精神鑑定を学ばねばならない理由とは……。
第一話「闇を覗く」 歌舞伎町無差別通り魔事件の犯人・白松京介。重度の統合失調症と診断された彼は、本鑑定を受けるため影山たちの病院に移送された。
第二話「母の罪」 横溝美里は生後五ヶ月の娘を抱き、マンションから飛び降りた。重い抑うつ症状が見られた美里は、面談で「悪魔が娘を殺せと脅した」と言う。
第三話「傷の証言」 高校中退後、自宅に引きこもっていた沢井一也は、姉を刺し逮捕された。影山たちが鑑定に赴くが、支離滅裂な発言をし恐慌状態に陥ってしまう。
第四話「時の浸蝕」 傷害致死で起訴された小峰博康には、精神疾患の疑いが。簡易鑑定を行った影山は「罪を逃れるための詐病」と証言したが、第二審で思わぬ反撃にあう。
第五話「闇の貌」 同僚を刺殺した桜庭瑠香子。過去にも殺人事件を起こしていた瑠香子だが、解離性同一性障害、すなわち多重人格と診断され不起訴となっていた。


【編集担当からのおすすめ情報】
『ムゲンのi』『ひとつむぎの手』『崩れる脳を抱きしめて』で
3年連続本屋大賞ノミネート！
「天久鷹央」シリーズ累計130万部突破、
今春映画化の『仮面病棟』でも話題沸騰！
医療ミステリーの最先端を行く著者の最新作。
主人公は精神鑑定医！

内容説明

心の闇を暴くミステリーの新境地！罪を犯した本当の理由とは―精神鑑定医・影山司が繰り広げる、究極の頭脳戦。

著者等紹介

知念実希人［チネンミキト］
１９７８年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師として勤務する傍ら、２０１１年「レゾン・デートル」で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。翌年同作を『誰がための刃レゾンデートル』と改題しデビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[starbro]

新型コロナウィルス対策購入シリーズ第32弾、知念 実希人は、新作中心に読んでいる作家です。精神鑑定の難しさを考えさせられる連作短・中編ミステリでした。新人医師の成長譚でもあります。オススメは唯一の中篇第五話『闇の貌』です。シリーズ化で長編を期待したいと思います。

2020/05/06

[zero1]

精神鑑定医は真実を導き出せたか？准教授の影山と過去の事件がトラウマになっている助手の弓削。鑑定には簡易と本鑑定がある。多くの作品に描かれている刑法３９条も議論の対象。心神喪失者は罰しなくてもいいのか？それだけではなく司法が医療に丸投げしている現状も厳しく指摘。後半にはＤＩＤ（解離性同一性障害）も出てくる。【精神病は一族の恥】という根深い差別も。どの事件でも些細なことが事件解決の糸口に。事件を捜査員ではなく鑑定医の視点で描くのが現役医師の知念らしさ。所々ご都合主義なのが気になる。本書の人気次第で続きが出る？

2020/04/08

[ウッディ]

心神喪失者の責任能力は問えないという刑法39条、親友を殺害され、無罪になった犯人の代わりに十字架を背負うことになった弓削凜は、有能な精神鑑定医・影山を師事する。心神喪失を詐称し、刑罰から逃れようとする犯人や弁護士と対峙し、数値に表れない心の病と向き合い、冷静な鑑定を行う影山の元で学んだ凜は、親友の殺害犯の心の中を知ることができたのか？精神鑑定の基礎をわかりやすく例題にした１～４話で未知の世界を知り、多重人格者の犯罪という超難問を描いた5話で、過去の因縁と意外な結末という物語の面白さが楽しめました。

2020/10/19

[うっちー]

刑法３９条の判断は難しい。現実にも考えられない事件が起きます。本作品で改めて感じました

2020/06/21

[R]

精神鑑定をテーマにした小説でした。精神鑑定についての詳細が正しいのかわからないが、そのルールや、偏見を利用した様々な犯罪への利用、トリックの数々が興味深くてエンタメとして物凄く楽しめた。精神医療という、タブーともいえるのではという分野を包含する犯罪、鑑定結果で精神に異常が認められた場合、その後の処置が病院にマル投げとなっている現実というのは、凄く考えさせられる内容だった。ノンフィクションで読んでみたい気がするが、これはゲスな好奇心からのものかもしれないな。

2020/08/24