横濱王

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093864183
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

文化を愛する実業家にして、「無私」の男

昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。
実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。その一方で、関東大震災では私財をなげうって被災者たちの救済にあたった。また、稀代の数寄者としても名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家たちの育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞の一つも見つからず、瀬田は苛立つ。
やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。
三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と出会ったことで、少しずつ考え方を変えていく。
実は少年時代、瀬田にとっては忘れえぬある記憶があった……。

内容説明

中国大陸で日本が戦火を交え始めていた昭和13年の横濱に、すごい男がいた。男の名は、原三溪。一人の青年が、国内有数の大富豪である彼の素顔に迫ろうとしていた―。

著者等紹介

永井紗耶子[ナガイサヤコ]
横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスのライターとして、雑誌、新聞の記事を執筆。2010年、第11回小学館文庫小説賞を受賞し、『恋の手本となりにけり』の題名で刊行しデビュー(文庫化に際し、『部屋住み遠山金四郎 絡繰り心中』と改題)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆみねこ

68
富岡製糸場のオーナーでもあった原三渓のことが書かれていると知り、手にしてみました。瀬田シュウジと言う青年の目を通して描かれる原三渓なので、ちょっと期待した内容とは違っていて残念。立派な人物であったと言うことは確かですね。今度横浜に行って三渓園を散策してみようと思いました。2015/09/28

真理そら

59
原三渓を描いた作品だが主人公は関東大震災で天涯孤独になった(実業家)瀬田。瀬田が三渓に出資してもらおうと三渓について調べスキャンダルを探していく形で原三渓がどういう人物だったのかを描いて行くという手法。大正から昭和、戦前戦後の時代の雰囲気がじんわり伝わる描き方なので物足りない人もいるかもしれないが個人的にはこのさらっとした雰囲気は好きだ。2022/07/06

ショウジ

23
もう20年以上も横浜に住んでいますが、三渓園のことを全く知りませんでした。三渓園って個人の庭園だったのですね。その人の名は、原三溪。本書はその原三溪を題材にしていますが、主人公はその原三溪に取り入ろうとする瀬田修司。瀬田修司は青年実業家としてなんとか原三溪から出資を得ようと古今奮闘。いろいろな人に会い、原三溪の身辺を調べ原三溪のスキャンダルを探そうとします。が、見つかりません。そして、原三溪と出会ったときに言われたひと言は。現代人でこれを言える人っているのかな。そう思えるひと言です。2020/12/19

baba

23
横浜市民なら誰でも知っている、森鴎外作詞の横浜市歌と原三渓。その原三渓の話しかと思いきや、関東大震災で孤児になった若い実業家から見た原三渓。今ひとつずっしりと伝わってはこなかったが、世間に媚びる事無く「己の王でありなさい」は胸打つ言葉でした。2015/11/23

誰かのプリン

22
横濱王と呼ばれる原三渓から資金を借り、軍隊に軍需品を商い大儲けを企む主人公。強請ネタを探しに嘗て原三渓に親交のある人達に面会しその人となりを探るが、聴こえる声は三渓を讃える話ばかり。やがて主人公の心にも変化が起きる。関東大震災、戦争と言う悲劇を如何に乗り越えたのか?。良い本でした。★★★★★2018/10/30

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