出版社内容情報
文化を愛する実業家にして、「無私」の男
昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。
実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。その一方で、関東大震災では私財をなげうって被災者たちの救済にあたった。また、稀代の数寄者としても名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家たちの育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞の一つも見つからず、瀬田は苛立つ。
やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。
三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と出会ったことで、少しずつ考え方を変えていく。
実は少年時代、瀬田にとっては忘れえぬある記憶があった……。
内容説明
中国大陸で日本が戦火を交え始めていた昭和13年の横濱に、すごい男がいた。男の名は、原三溪。一人の青年が、国内有数の大富豪である彼の素顔に迫ろうとしていた―。
著者等紹介
永井紗耶子[ナガイサヤコ]
横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスのライターとして、雑誌、新聞の記事を執筆。2010年、第11回小学館文庫小説賞を受賞し、『恋の手本となりにけり』の題名で刊行しデビュー(文庫化に際し、『部屋住み遠山金四郎 絡繰り心中』と改題)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
真理そら
ショウジ
baba
誰かのプリン