ヒトリコ

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093864176
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

小学館文庫小説賞松本清張賞W受賞の快挙!

深作日都子は小学5年生の時、教師から金魚を殺した濡れ衣を着せられ、熾烈ないじめの対象となった。そのときから日都子は、誰にも心を閉ざし、「みんな」には加わらない「ヒトリコ」として生きていく決心をする。
田舎の小学校の生徒達はそのまま中学校へ持ち上がる。ヒトリコの心の支えは、ピアノとピアノを教えてくれる偏屈なキューばあちゃんだけ。合唱の盛んな中学では生徒の間にカースト制度が生まれ、激しいいじめや陰口が横行する。「みんな」に属している限り生徒間の闘いは続く・・・。
地元の高校の入学式。小5で転校した冬希の姿がそこにあった。モンスターペアレントの母親との暮らしに疲れ切った冬希は、母親を棄て、父親の地元に戻ってきたのだった。何も変わらぬ故郷、仲間。ただ、一人だけ全く変わってしまった日都子の姿に冬希は驚く。そしてその原因が自分が飼い、置いてきた金魚と知り・・・。
誰もの心に突き刺さる、青春の残酷さ、閉塞感・・・・・・。絶望的な孤独の末に見えてくるうっすらとした光。必ず誰もの心の奥の奥に入り込み、内側からあなたの心を揺さぶる、苦くて新しい青春小説です。

【編集担当からのおすすめ情報】
全くの新人作家の方がほぼ同時期に2つの新人発掘の大賞を受賞することは、いまだかつてないことです。最終候補作に残っている、という連絡は奇しくも同じ日だったとのこと。2015年4月頭に第16回小学館文庫小説賞受賞決定、その直後に第22回松本清張賞も受賞。
これを記念して出版社の枠を飛び越え、二つの受賞作品をダブルデビュー作として刊行することになりました。この彗星のように現れた新しい才能のきらめきを、是非お確かめください。

額賀 澪[ヌカガ ミオ]
著・文・その他

内容説明

クラスで飼っていた金魚殺しの濡れ衣から壮絶ないじめの対象となった日都子(ひとこ)。小5のその日から、彼女は「みんな」には属さない「ヒトリコ」として生きる決心をする。ヒトリコとして生きる彼女の心の支えはピアノとピアノ教師の偏屈なキュー婆ちゃんだけ。時は経ち、高校に進学した彼女たちのもとにいじめの原因となった金魚を置いて転校した冬希が戻ってくる。癒えることのない深い深い心の傷を抱えて…。つらくて、痛くて、理不尽で。でも心がじんわり温まる物語。第16回小学館文庫小説賞受賞。

著者等紹介

額賀澪[ヌカガミオ]
1990年、茨城県行方郡麻生町(現・行方市)生まれ。高校卒業後は小説家を目指し日大芸術学部文芸学科へ入学、創作やDTPを学ぶ。卒業後は広告代理店に勤務、制作の仕事をしながら小説の創作を続ける。2015年『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞。同年『屋上のウインドノーツ』(『ウインドノーツ』を改題)で第22回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

298
無理して笑わなくてもいいし、だめなところがあってもいい。長所も短所も強さも弱さも、そういう自分、とか、誰か、とか、自覚的に受け入れられないから苦しい。小5の時、クラスの金魚が死んだのがきっかけで始まった理不尽ないじめ。くだらない「みんな一緒に」には属さず、ヒトリコでいることを選んだ日都子。ヒトリコが自分を貫くほどに、いじめる子達のほうが劣等感を強めていく。凛としたヒトリコ、眩しくて羨ましくて、だから苛立たしい。時が過ぎ、ヒトリコも周りも成長した。ほんの少し何かが変わっていきそうな、そんな予感を心に抱いて。2016/02/26

ナイスネイチャ

264
「屋上のウインドノーツ」に続き、2作目。爽やかでスッキリする作品。何かこの年齢になると親目線で読んでしまいます。日都子も理解してくれるおばあちゃんがいて良かった。こういう大人が悲しいかないないのが現実でこの作品に出てくる小学校の先生やモンスターペアレンツの母親が多いのも現実なのかと。ただこの作家さんの作品は元気貰えますね!これからも追いかけていきます!2015/11/12

おしゃべりメガネ

202
【小学館文庫小説賞】受賞作品です。新聞折込の宣伝などで見かけて気になり、手に取りましたが思っていた以上に惹き込まれ、アッという間のイッキ読みでした。主人公「日都子(ヒトコ)」は小5の時、とある‘事件’から壮絶なイジメの対象になり、その日を境にクラスのみんなとは属さない「ヒトリコ」へ。そんな彼女のただ一人の良き?理解者でピアノ教師の「キュー婆ちゃん」との不思議な交流を交えながら、時を経て高校生に。高校で再会した「冬希」との関わりが少しずつ「ヒトリコ」の心の氷をとかしていきます。「キュー婆ちゃん」が最高です!2015/08/14

紫 綺

184
ぐるぐると乱れ絡まった思春期の幼馴染たちの糸が、手の施しようもなく醜く、どうしようもなくなったと思った。だが違った。少しずつ少しずつ、緩やかに、でも確実にほぐれていく様は感動すら覚えさせてくれた。2015/11/08

fwhd8325

170
暗く、陰湿な物語になってもおかしくないけれど、どんどん引き込まれていく。タイトルは、核となる女学生にちなんだものだけど、これは、他の登場人物にも当てはまるのだろう。人は、誰でもどこかで躓く。それを吹っ切るのか、抱え込んでしまうのかで、人の成長の器は大きく変わるのだろう。これも青春の物語、ほのかに甘い匂いが漂うけれど、これからの人生で嫌というほど味あわなければいけない苦さが引き立つ。この作品も青春の名作だと思います。2016/05/25

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