出版社内容情報
日本の洋画界に一際光る異端の画家長谷川利行。今年は彼が放浪の果てに悲惨な死を遂げてから60年にあたる。その作品は人生と反比例してますます輝きを増している。書下ろしで彼の生涯に迫った注目の書。
長谷川利行(1891年?1940年)は、近代日本の洋画界で一際孤高の光を放つ画家である。個性的な構図、強烈な色彩、激しくのたうち廻るかのような線、いずれもアカデミズムとは対極をなすものである。それだけに画壇には受け入れられず放浪の果て、行き倒れで生涯を終えるという悲惨な人生を送った。しかしその作品は死後ますます評価は上がり、本年は没後60年を期しての大々的な展覧会が開催される。本書はそうした利行の生涯をノンフィクション作家吉田和正が書き下ろしたものである。ここで新たにされるのは、まさに「芸術家の狂気」といえる凄絶な姿であり、彼の作品をより深く感じとるためには欠かすことのない一冊といえよう。
内容説明
荒々しくも、詩的で純朴な数々の作品を遺した日本のゴッホ、長谷川利行。「生きることは絵を描くことに値するか」と叫びながら、大都会のなかを漂泊し、困窮と孤独のうちに死んでいった無頼の画家利行の、いとおしくも悲愁にみちた生涯の軌跡。
目次
第1章 空白と謎にみちた少・青年時代
第2章 生きることは絵を描くことに値するか
第3章 無頼と奇行
第4章 天城画廊と長谷川利行
第5章 行路病者・長谷川利行・胃癌
第6章 利行の死と作品の急騰