出版社内容情報
水俣病を世界に告発した写真家の本格評伝
二十世紀を代表する写真界の巨匠、ユージン・スミス(1918-1978)の代表作であり、人生最後のプロジェクトでもあったのが、写真集『MINAMATA』(1975年)でした。なかでも有名なのが、胎児性水俣病患者の娘をいとおしむように胸に抱く母の姿をとらえた「入浴する智子と母」の一枚です。この写真は世界中に衝撃を与え、水俣の公害の実態を海外に知らしめる役割を果たしました。
写真集『MINAMATA』のプロジェクトは、妻アイリーン・スミス氏との共同作業でしたが、もうひとり重要な役割を果たしたのが、当時ユージンのアシスタントを務めていた石川武志氏です。ユージンが水俣で過ごした約3年間、彼と生活をともにしながら撮影活動を支えた石川氏の視点から、独特の撮影手法や患者との交流、写真にかける情熱、情の深い人柄など、これまで語られることのなかったユージン・スミスの「水俣」がよみがえります。
2012年、第19回小学館ノンフィクション大賞受賞作品。
【編集担当からのおすすめ情報】
「ユージン・スミスの仕事をここまで力に満ちて追求し続けた作者に感服した」(椎名誠氏)、「もはやたんなる取材者を超えて、なにか大いなる真実に肉薄していこうとする求道者の印象さえある」(高山文彦氏)と選考委員の先生方も絶賛した小学館ノンフィクション大賞の受賞作です。彼の生涯を追いかけた初の本格評伝をぜひお楽しみください。
内容説明
世界中を震撼させた写真集『MINAMATA』はいかにして撮影されたのか。「フォトジャーナリズムの巨星」の本格評伝。第19回小学館ノンフィクション大賞受賞。
目次
「水俣」への道のり
原宿のセントラルアパートで
月ノ浦の溝口家
智子を撮る―宝子とピエタ
実子を撮る―いとしく美しいひと
五井事件
孝子を撮る―日本の原風景となる漁村で
裁判と若衆宿―しのぶと恵美子
写真集『MINAMATA』まで
ユージンの死
封印された写真の真実
著者等紹介
山口由美[ヤマグチユミ]
1962年9月15日、神奈川県箱根町生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。フジテレビ系列の会社勤務、ホテル・海外旅行専門誌のフリーランス記者を経て、現在はノンフィクションライター。ホテル、建築、近現代史などを主なテーマとしてノンフィクションを手がけてきた。一方で、旅をテーマとする紀行、エッセイ、コラムなどの執筆活動も行っている。『ユージン・スミス―水俣に捧げた写真家の1100日』で第19回小学館ノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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おかむら
井月 奎(いづき けい)
ぱんぺろ
けいた@読書中はお静かに
tellme0112