Shogakukan mystery
二つの脳を持つ男

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  • サイズ B6判/ページ数 350p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093565516
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

二つの人格の間を揺れ動く精神を病んだ男が惹かれた美貌の女は金だけが目当ての性悪女だった。第二次大戦前のロンドンを舞台に、傷つきやすいがために愛と憎しみの間を激しく行き来するジョージがたどる煉獄への道。本邦初紹介のサイコサスペンス。

 ろくでなしのミッキーにあの女を取られてたまるか! 美しさだけが取り柄の売れない女優ネッタを巡って、激しい恋の鞘当てを演じるジョージ。不況下で失業した彼は自分の財産を彼女のためにつかい尽くすが、金が目的のネッタは彼を馬鹿にしつつも見かけの好意をちらつかせ、金蔓の彼を離そうとしない。 そしてある時、彼女と二人きりになるチャンスをぶちこわしたネッタに、彼の愛と憎しみが爆発する。 精神的なショックを受けて二つの人格の間を揺れ動く男がたどる、煉獄への道をリアルに描いた心理スリラーの古典。 グレアム・グリーン、ドリス・レッシング、ジュリアン・シモンズ、パトリシア・ハイスミスなどが絶賛した名作。

内容説明

ろくでなしのミッキーにあの女を取られてたまるか!美しさが取り柄の売れない女優ネッタを巡って、激しい恋の鞘当てを演じるジョージ。不況下で失業した彼は自分の財産を彼女のためにつかい尽くすが、金が目的のネッタは彼を馬鹿にしつつも見かけの好意をちらつかせ、金蔓の彼を離そうとしない。そしてある時、彼女と二人きりになるチャンスをぶちこわしたネッタに、彼の愛と憎しみが爆発する。精神的なショックを受けて二つの人格の間を揺れ動く男がたどる煉獄への道をリアルに描いた心理スリラーの古典。グレアム・グリーン、ドリス・レッシング、ジュリアン・シモンズなどが絶賛した異色の名作。

著者等紹介

ハミルトン,パトリック[ハミルトン,パトリック][Hamilton,Patrick]
1904年英国サセックスで三人兄弟の末っ子として生まれる。父バーナードは弁護士で小説家だったが酒色におぼれて財産を食いつぶし、娼婦と再婚したが彼女も鉄道自殺する。また母エレンも小説を書くなど才人だったが離婚し、再婚した相手がひどい女道楽だったために不幸な一生を送った。姉は美貌の女優、兄ブルースは推理作家として知られ『首吊り判事』(ハヤカワポケットミステリ)などがある。パトリックは俳優を志すが大成せず、速記者から作家となり劇作も手がける。A・ヒッチコックの映画『ロープ』や、イングリッド・バーグマン主演の『ガス燈』の原作者として知られる。本国でも特異な作家として知られ、G.グリーン、W.アレン、D.レッシング、A.ポーウェル、J.シモンズなどに絶賛された

大石健太郎[オオイシケンタロウ]
1935(昭和10)年福岡県生まれ。早稲田大学文学部卒。早稲田大学・法政大学講師。英文学研究家・翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

124
とてもきれいだけれど売れない女優のネッタ。彼女は根っからの悪女ではなさそうだが、ジョージは彼女のことで悩み苦しみ財産を使い果たす。問題はジョージが多重人格…二人に分かれているということ。読んでいるこちらの頭が混乱しそうになる破壊力や無茶苦茶さがある。彼がそこまで彼女に嫉妬したり怒る理由は、精神的疾患による思い込みや妄執があるからか理解しがたい部分もあった。読後の自分の神経の疲労感みたいなのがすごい。映画になっているそうだが、確かにそちらの方が理解しやすそうだ。プロットが斬新なのはよくわかる。2016/09/16

まふ

97
1941年作。サスペンスものと思ったら喜劇であった。脳に突然別人格が乗り移る、という一種の精神分裂症的発作に生来冒されている主人公のジョージが、美人で女優志望のネッタに一途に恋情を捧げるが、終始適当にあしらわれて足蹴にされる、という単純なプロット。とは言え途中経過の枝葉がいろいろとあり、結構楽しく読んだ。最後のインシデントが「エピローグ」と称して締めくくられる。これが全体で最も重いプロットであった。G599/1000。2024/08/24

NAO

63
二重人格者のジョージが性悪女に振り回されることで起きる悲劇。普段は彼女にぞっこんなのに人格が切り替わると彼女を殺そうと企んでいるジョージの症状は、彼女の無情さと度重なる深酒のせいで急速に悪化。彼女は本当に殺されるのかとやきもきするが、原題が「二日酔い」である通り、どちらの人格のときも、ジョージの言動は一貫性がなく、ふらふら漂っているようだ。行き場のない主人公の無力感、所在のなさが、殺人願望を持つ別人格を作り上げたのだろうか。その別人格というのも、二日酔いの中での幻想の産物なのかもしれない。2021/09/16

loanmeadime

11
美女にベタぼれして右往左往する小説として、サマセット・モーム「人間の絆」を以前読みましたが、その中のフィリップとミルドレッドが丁度本作のジョージとネッタに同じ関係と言えます。ミルドレッドもネッタも生きたいように生きているだけで、それで人生おかしくするのはフィリップとジョージの勝手というまとめ方が出来てしまいますが、相手に対する憎悪を募らすジョージの方に犯罪が迫ります。原題は「二日酔い広場」というような意味で、この邦題は内容について不要な先入観をもたらしますね。私も勘違いから読み始めました。2024/09/04

ドイツ語勉強中

4
【G1000冊-3】精神疾患のある男が悪女に振り回される話らしい。男の一人称で語られるせいか、女や周囲への恨み嫉みばかりが表現過多で、逆に自分が分裂した時の様はあまり伝わりやすくない。そして同性としてはこの程度で悪女とは言えないような、ごくありふれた片思いにも読める。男の脳内を体験するには映像の方が良さそうな気がする。邦訳タイトルに、期待しすぎたのかもしれない。原題にhangoverとある通り、単に二日酔い男の日記として読めば、くどい表現も含めて面白かったかもしれない。2015/09/28

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