内容説明
町の名士と日蔭者の子の愛憎を描く。―自分のいう血のこわさとは、日蔭者の子とその父、というこの血の関係のこわさなのだ。この血ゆえに、かつては全力をあげて拒否しようとした存在を、いまはかえってその血ゆえに“父なるもの”としてわがふところに受容しようとしている。―医者であり町の名士である高峰好之と、その愛人のあいだに生まれた伊作。好之の死後、伊作たちは高峰家とは疎遠な状態だったが、85歳になる母が、父のさみしそうな様子を夢に見るというので、父の墓に参り、その足跡を調べることに。その作業は、恨みに思っていた父と、あらためて向き合うことも意味していた…。第28回読売文学賞に輝いた傑作私小説。
著者等紹介
八木義〓[ヤギヨシノリ]
1911(明治44)年10月21日‐1999(平成11)年11月9日、享年88。北海道出身。1944年「劉廣福」で第19回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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