内容説明
幼稚園の年長さんになった庄野家・次男の子、文子(フーちゃん)は、作者の家(山の上の家)のすぐ下に住んでいる。ことあるごとに(ときには一日に何度も)行き来をしては、作者の妻が洋服をつくってあげたり、ご近所さんからいただいた季節の風物をともに楽しんだりしていた。そんな、まさに目の中に入れても痛くないほどかわいがっている孫が、隣駅の街に引っ越すことに。そしてほどなく卒園、小学生になり、ひとつの時代が終わりを告げる。妻は「フーちゃん、いちばん可愛いときに近くにいて遊ばせてやれてよかった」と何度もつぶやく―。足柄に住む長女夫婦、“山の下”に住む長男・次男夫婦、そして近所の人たちとの交流を写実的に、丹念に描く「フーちゃん三部作」完結編。気鋭の庄野潤三文学研究者・上坪裕介氏が「三部作」を通じた解説を寄稿。
著者等紹介
庄野潤三[ショウノジュンゾウ]
1921年(大正10年)2月9日‐2009年(平成21年)9月21日、享年88。大阪府出身。1955年『プールサイド小景』で第32回芥川賞を受賞。「第三の新人」作家の一人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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平坂裕子
2
日々の暮らし、子供たちのこと、孫たちのこと、細やかに丁寧に書かれている一冊。その頃の思い出は、きっと何年経っても懐かしく蘇ってくるであろう。何かをして頂いたら、すぐに御礼の手紙を出す習慣もとても素敵である。2021/11/23
ちょこぼ
1
貝殻と海の音以降を読んでおり、この本も読みたいなぁ、と思っていたのだが、ようやくP+DBOOKsに入ったのを電子で読む。フーちゃんが小学校一年生になるところ。後年のものより、エピソードも多く、お隣の駅に引越して行く孫娘達を見送るエピソードなど、より「小説らしい」感じがした。庄野さんの本に流れる、温かい感じは変わらないのだけれど。自分が元気のないとき、つい帰ってきて読んでしまう。2023/06/10
maghrib
1
この本に前に読んだ庄野作品が夕べの雲だったので、登場人物の年齢も生田の山の上の家の周辺もずいぶん変わっている(プリキュアという文字が庄野作品に出てくるとは思わなかった)。山の上の家にはそのうち公開日に行ってみたい。2021/07/22
tsumugi
1
ふーちゃんがお引っ越ししてしまうとのことでハラハラしていたが、お引っ越ししたくらいで愛情が薄れるはずもなく、相変わらずの助け合いと猫可愛がりに安心してしまった。 長男の娘の恵子ちゃんも成長してきたけど、ふーちゃんとはまた違う性格なのがよくわかって楽しい。 きっとこのまま幸せに時が過ぎていってくれるのだろうと思わせてくれるところが大好き。 あと、正雄くんのたまねぎの絵本は普通に面白いよね、、、2021/04/22