出版社内容情報
福永武彦が加田伶太郎名で描いた探偵小説集
純文学作家である福永武彦が加田伶太郎のペンネームで発表した「完全犯罪」「失踪事件」「赤い靴」などの探偵小説10編に、随筆「素人探偵誕生記」を併せた異色の一巻。
大学助教授で自ら”安楽椅子探偵”を自認する伊丹英典は、助手・久木進を伴い、得意の分析力、想像力、論理力を駆使して、迷宮入りかと思われた難事件を次々と解決していく。
また、船田学名義で書かれた未完のSF作品「地球を遠く離れて」も併録した、福永武彦の意外な一面が垣間見える異色作品集。
福永 武彦[フクナガ タケヒコ]
著・文・その他
内容説明
純文学作家である福永武彦が加田伶太郎のペンネームで発表した「完全犯罪」「失踪事件」「赤い靴」などの探偵小説10編に、随筆「素人探偵誕生記」を併せた異色の一巻。大学助教授で自ら“安楽椅子探偵”を自認する伊丹英典は、助手・久木進を伴い、得意の分析力、想像力、論理力を駆使して、迷宮入りかと思われた難事件を次々と解決していく。また、船田学名義で書かれた未完のSF作品「地球を遠く離れて」も併録した、福永武彦の意外な一面が垣間見える異色作品集。
著者等紹介
福永武彦[フクナガタケヒコ]
1918年(大正7年)3月19日‐1979年(昭和54年)8月13日、享年61。福岡県出身。1972年『死の島』で第4回日本文学大賞受賞。作家・池澤夏樹は長男(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
70
福永武彦が、ペンネーム加田伶太郎で書いた探偵小説とペンネーム船田学で書いたSF小説を収録。巻末の「素人探偵誕生記」を読むと、福永武彦がホントに探偵小説好きだったということがよく分かる。純文学から離れ楽しみながら書いている。意外にちゃんとした本格である。睡眠を取り扱った「眠りの誘惑」や「湖畔事件」の「殺人狂」の少年兄弟が気になった。SF小説「地球を遠く離れて」もしっかりサイエンスしてるし「宇宙意志」というのが面白いが未完なのが残念だ。この本を読んで、福永武彦が小説「モスラ 」に関わっていたことに納得した。2021/04/16
Ribes triste
12
福永武彦が推理小説を書いていたとは知っていましたが、ようやく手にとって読めました。著者の弁はさておき予想外に面白かったのです。ますます福永武彦が好きになりました。2017/08/16
アレカヤシ
2
作者が冗談半分で書いた趣味的なものらしい。けれど面白く読んだ。(探偵小説の味は、秀抜なトリックと明快な論理とにある)P10 はじめの五作くらいは古典的探偵小説らしいが、あとになるほど、タネ切れの為か、風変わりになって面白い。登場人物たちが、作者の本職の小説に出てくる人物と同じ性質を持っていたりして、よく似た会話をしたりするのも可笑しい。どれも楽しんだけど、「女か西瓜か」が特に好きだった。主人公が自身の想像に恐怖するところ。ちょっとつげ義春の作品を思い出した。「地球を遠く離れて」の宇宙意志も好きな感じ。2017/10/30