十三番目の子

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 109p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784092905603
  • NDC分類 K933
  • Cコード C8097

出版社内容情報

母の愛、生と死を詩的に語る感動物語

イニスコール島の村には、古くから、ある言い伝えがあった。一人の女が産んだ十三番目の子は、その十三回目の誕生日に、いけにえとして暗黒の神ドンドにささげなくてはならない。その子の命と引き替えに、村は十三年の繁栄が約束される、というのだ。
明日は、十三番目の子として生まれた娘ダーラの、十三歳の誕生日。
この世で過ごす最後の夜。ダーラの前に、クロウタドリに姿を変えた空の神ルグが現れ、母メブの家に連れていかれる。そこで知った衝撃の真実とは――。

家族の苦しみと悲しみ、深い愛と絆を描く感動の物語は、淡々とした筆致で語られ、抑えた色調の美しい絵が、それに寄り添う。
著者のシヴォーン・ダウドは、大学卒業後、国際ペンクラブに所属し、作家の言論や表現の自由を守る活動家として世界各地を飛び回りながら、自分でも本を書き始めたが、二〇〇七年、四十七歳の若さで他界。本書は、ダウドが生前に完成させていた作品のうちの、最後の未発表作品となる。


【編集担当からのおすすめ情報】
作者のシヴォーン・ダウドは、カーネギー賞、ガーディアン賞、コスタ賞など、いろいろな児童文学の賞にノミネートされる実力派です。2007年に若くして病死し、本作品は遺稿となります。発売以来、その美しさとすばらしさで話題になり、ドイツで毎年発表される「ホワイト・レーベン」の児童書リスト(イギリスのベスト5)にも選ばれている一冊です。

シヴォーン ダウド[シヴォーン ダウド]
著・文・その他

パム スマイ[パム スマイ]
イラスト

池田 真紀子[イケダ マキコ]
翻訳

内容説明

一人の女が産んだ十三番目に生まれた子を、十三回目の誕生日に、いけにえにささげよ。それと引き替えに、その日から十三年の繁栄が約束される。したがわないならば、大嵐が来てイニスコール島の村を滅ぼすだろう…。それは、地底の暗黒の神ドンドとの契約。村に伝わる呪いのような言い伝えだ。ダーラが、まさしくその十三番目の子だった…。呪われた子として生まれたダーラは、村の人々はもちろん、実の母親とさえ一切のつながりを持たずに育てられ、家族の絆を知らないまま死んでいこうとしている。ところが、生け贄として海に沈められるまぎわになって初めて、ダーラはようやく肉親の無私の愛を知り、母は娘を、兄は妹を取り戻す―夢幻的で美しい世界が広がる!じわりじわりと身体にしみわたる家族の愛の物語。

著者等紹介

ダウド,シヴォーン[ダウド,シヴォーン] [Dowd,Siobhan]
1960年、英国ロンドン生まれ。オックスフォード大学卒業後、国際ペンクラブで、アジアや中南米の作家の人権活動などに携わる。2006年“A Swift Pure Cry”で作家デビュー、翌年のブランフォード・ボウズ賞を受賞。2007年8月、がんのため47歳で逝去。生前書きためていた作品が、没後刊行され、高く評価されている。『ボグ・チャイルド』(ゴブリン書房)で2009年カーネギー賞、『怪物はささやく』(ダウド原案、パトリック・ネス著、あすなろ書房)で2012年カーネギー賞を受賞

スマイ,パム[スマイ,パム] [Smy,Pam]
アングリア・ラスキン大学でイラストレーションを学び、2004年児童絵本コースを卒業。現在、母校で教えるかたわら、版画の展覧会をたびたび開催。ケンブリッジ在住

池田真紀子[イケダマキコ]
1966年、東京都生まれ。上智大学法学部卒業。企業勤務をへて1994年より翻訳家。英米のミステリーを中心に翻訳している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mocha

98
余計なものが削ぎ落とされた、ファンタジーの根幹を見る思いがした。挿画も素晴らしい。扉からの十数ページは特にドラマティックで圧巻。鳥たちに導かれて一気に物語の世界へと入っていける。何度でも読み返したくなる傑作。2016/10/21

chimako

87
「一人の女が産んだ十三番目に生まれた子を、十三回目の誕生日に、いけにえにささげよ。それと引き替えに、その日から十三年の繁栄が約束される」・・・暗黒神ドントとの契約。その日が近づいてくる。本当は十三番目の子だと知った兄の苦しみや母と離れいけにえを覚悟して育ったダーラの哀しみ、やがて気づいた母の自分自身の愛の深さ。そして再生。隣人たちの身勝手と欲。たくさんのメッセージが有るようでたったひとつを教えてくれるようでもある。ダーラとバーンに寄り添うリスは長老カイルか母の霊か。2016/08/25

☆よいこ

61
島では、十三番目に生まれた子供を海の神に生贄として捧げなければならない。島の女は12人までしか子供を産まない、しかし12回目の出産で双子が生まれてしまう。13番目の子供として生まれてしまった少女ダーラの悲しみ。13歳の誕生日に海に投げ込まれて死ぬ運命の目の前に、双子の兄バーンが現れた。そして真実が明るみにでる。▽児童書。昔話のような物語。家族の物語、ちょっと暗い。2019/03/30

帽子を編みます

51
悩ましい内容です。ケルト神話っぽい話ですが、まず13人子どもを産むところにひっかかかります、村の女たちは12人産んだところで山の魔女にお守りをもらって不妊になる、むむっ。今回は12人目が双子だったために悲劇となるのですが…。女が子を産むことでしか価値がなかった時代、男と女の価値の違い、親のちょっとした一言、でも本当はどの子も愛しているということ。身を挺して子を救う母の愛。他者に犠牲を要求した者たちへの制裁。双子はたどり着いた新天地でどのように過ごすのでしょう。絵物語でもあり絵の力も感じさせる一冊でした。2024/07/21

星落秋風五丈原

46
戦時中でも珍しいと思うが、13人も子供を産んだら母親の体はぼろぼろだ。ましてや「産んだら、はい、終わり!」ではなく、13人それぞれの長い子育て期間がある。母親はそんな思いをして子供を産むのだから、恐ろしい予言があるのに、誰もわざわざ死なせるための生贄とわかっている子を生もうとしない。メブも13人目を生む母親になるつもりはなかった。ところが彼女が産んだのが男女の双子だったため、母親はどちらかを択ばなければならなくなる。生贄とは誰かを犠牲にして助かるシステム。当然後味は悪い。犠牲者を出す側に都合のいい。2022/08/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/10823816
  • ご注意事項