出版社内容情報
第二次大戦末期、上海領事の父を訪れるため危険な海を渡った女性・佐倉遥華。彼女は、その地で不思議な影を持つ男・縄井と出会い、いくつもの闇が支配する時代の波に翻弄されていく……。
▼第1話/上海に立つ▼第2話/和平飯店の夜▼第3話/魔都の華▼第4話/大世界▼第5話/密議▼第6話/陸軍中佐・如月真実▼第7話/決意と訣別と▼第8話/闇の中の日本へ▼第9話/歯車▼第10話/凶弾▼第11話/血塗られた信義▼第12話/計画変更▼第13話/黄泉への航海●主な登場人物/佐倉遥華(上海領事・佐倉響一郎男爵の娘)、塚瀬肇(東亜省支那事務局員。遥華の許婚者)、縄井綾人(上海領事館警察の巡査部長)、劉苓(抗日組織の少女) ●あらすじ/いよいよ戦局も差し迫ってきた昭和20年2月。いつ、敵潜水艦が現れるかも知れない東シナ海を渡る塚瀬と遥華。やがて、無事上海に着いたふたりが人力車で進んでいくと、現地の老人が同じ中国人の群衆にリンチされているのを目撃する。やめさせようと詰め寄る塚瀬。だが、そこに突然銃を携えた男が現れ、一瞬のうちに老人を射殺すると、そのまま何事もなかったように群衆の中に消えていってしまった。あまりのことに、ただ呆然とするふたりだったが…(第1話)。●本巻の特徴/その後、上海領事館に着いた塚瀬と遥華は、なんと、今しがた老人を射殺した男と領事館内で再会することになる。しかも、その男??縄井綾人は佐倉領事直属の警察官だったのだ!