出版社内容情報
愛と憎悪、複雑な人間の感情を描く感動巨編
グレッグの獲物と化したジェルミ。逃げるように寄宿学校に転入したものの、帰宅する週末ごとに義父との悪夢のような時間が待っていた。しだいにエスカレートする行為に、ジェルミは心身ともに激しく消耗していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
53
義父であるグレッグに鞭で打たれ失語症になったジェルミ。しかしイアンの歌声に救われる。グレッグの亡くなった前妻リリアの姉ナターシャは、ジェルミへの虐待を目撃するも静観。そんな中でも戦おうと抗うジェルミはリリアの死の謎を追求し始めるが、その事で虐待は更に過激に。ジェルミは『自分の死体を壁に埋める』そんな悲痛な発想で心の安定を保つ。そんな彼を見つめるしかできない【救えない傍観者】として読者の存在が如実に確立してしまうジレンマ。渦中に巻き込まれながらの悪夢と光の交叉、心臓に響く激動の第二巻!!2023/03/28
そらねこ
24
これを読んだ当時、既に大人ではあったけど、どうにも辛すぎる展開に読み続けるのが辛かった。愛する母親を守るために自らに犠牲を強いるジェルミ。一緒に暮らすナターシャも気付いても止めてはくれず、誰にも言えず、誰からも救われないジェルミ…。今はあれから何年も経って、海外のサスペンス小説が好きになってこうした子供や女性を虐待する展開の入る小説は沢山読んできたので、結構冷静に読める。そしてやはり萩尾さんは凄いと実感。2017/01/28
赤とんぼ
17
いろいろと闇を覗き込んでしまうようで、読むのがなかなか辛い。でも、怖くてやめられない…。母を守ろうとするからこそ、助けを呼べないというのが、たまらなく苦しい。皆自分を守るのにあまりにも必死。家族が生贄を必要とするとき、本当に残酷なことが起こる。 「これで、どうやって生きろというのですか。生きることが正しいのですか。何故死を願ってはいけないのですか」昔精神科勤務の時に聞いた言葉たちがよみがえってくる。 2018/05/05
UC
16
積みから読了。終盤にとうとうジェルミが狂い始めましたね、いやまだ予兆に過ぎませんが… ナターシャもジェルミを救ってやりたいけど、やっぱり自分の息子の方を守ってやりたいのでしょうね。 少し思ったけど、サンドラがさっさと死ねば事態は好転するんですよね、この物語。 前も話しましたが、この物語のジェルミは機動戦士ガンダムUCに登場するアンジェロと同じような生い立ちを辿るそうです。いや、最終的にはアンジェロより酷い結末を迎えるのでしょうか…2015/09/18
阿部義彦
14
ナターシャはグレッグのジェルミへの虐待を知っても無視をする。イアンは良い家族を演じようと提案。サンドラは何も気付かずに息子を可愛がりスポイルする。なんと鈍感な家族であるか!心理療法の専門家を訪ねるジェルミ。2015/10/03