出版社内容情報
大富豪の死、それは彼の魂をこの世から解放し、“精霊王”へと導く呪術の始まりだった!表題作ほか「アシラム」「オフィーリア探し」「アレフ」「タオピ」など徳永メイ原案作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shiman
9
徳永メイさんに自らリメイクしていいかときいたという『アレフ』どんなだっけ、と再読したらまたカッパえびせんに。総特集に、男性嫌悪が伺われると感想があったとの一冊、嫌悪の対象は男性ではなく様々な女性がシーンで感じる制度や慣習や思い込みetcを読み手が経験を掘り起こしてしまうのでは。2024/06/18
日々珠
5
リンゴのタルトに興味が出てきたこの頃、この漫画を思い出し、棘が生きてたことを知る。焼き上がったタルトを見て「こんなのつくれちゃうなんて尊敬するわ」(短編『タオピ』より)悲劇の中の短い平和。タルトの焼き色は人類の文化遺産かもしれない。2012/10/12
朱音
5
この作者のって、ストーリーの斬新さはもちろんだけれど絵がまたいい、と思う。ストーリー上のことなのかもしれないが、激しいアクションシーンではなく言うなれば静かな「止め絵」的な、しかしそれでいて独特の透明感のある風景が薫る、と言った感じだろうか。あの当時の(80年代初めごろの)プチフラワー(あるいはもう少しマニアックだがグレープフルーツ)にはこんな漫画が入っていてそれが楽しみだったのだ。…単行本は入手できるのかどうかわからないけど、こういった良書が文庫で手に入るのはホントにありがたい。2003/01/14
みのにゃー
4
久しぶりの再読。徳永メイ氏原案作品集。表題作他、続編というより父ジョナサンの若い頃の話『アシラム』、現代ミステリ『オフィーリア』、男性が生まれない近未来『アレフ』、現代のジェンダー問題に通じる『タオピ』を収録。徳永氏をあまり知らないが、ミステリの作品が多い?佐藤作品の中でも読みやすく面白いと思う。表題作が特に好き。2022/05/24
ユキモリ
1
再読。原案付きの作品を集めたせいかダークさが強調されているような気がする。土俗的な信仰を取り上げた表題作はどこか諸星大二郎氏に通じる不気味さのあるファンタジー。「アシラム」の若きヒンクリーが「精霊王」へと繋がる道をたどるのは、彼の持つ未熟さ、潔癖さ、不寛容さ等が極端な形に突出して歪んだユートピアの具現化を夢見るようになったと考えると複雑な気になってしまう。ジェンダー問題やフェミっぽさは時代のせいかも。2013/02/04