出版社内容情報
太陽系第4惑星・火星。赤い風の吹く星。23世紀末の地球に天を見つめる1人の少女がいた。レッド・星(せい)。火星に生まれ、火星を恋する第5世代の火星人。しかし、夢にまで見た故郷に帰った時、火星の大いなる災いが始まった。火星と火星人の呪われた運命を救うため、銀河系の中心で少女が見たものは……。萩尾望都が描く壮大なSF叙事詩。
太陽系第4惑星・火星。赤い風の吹く星。23世紀末の地球に天を見つめる1人の少女がいた。レッド・星(せい)。火星に生まれ、火星を恋する少女が、呪われた運命を超え、銀河系の中心で大活躍。壮大なSF叙事詩。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
98
レッド・星(セイ)という少女と彼女の故郷である火星にもたらされる運命を描いたSF漫画。冒頭から引き込まれ、その後も起伏に富んだストーリー展開に翻弄されながらも最後まで中身の濃い物語を堪能できて満足。地球に身を隠す火星の少女を起点に地球と火星の対立の話に流れていくかと思いきや、エルグという謎の人物が鍵となって超常的で壮大な世界観に広がっていく。破滅的な力の描写が強烈であり、一方で故郷を思う儚くも強い気持ちで繋がるセイとエルグの描写は美しい。そして得たもの失ったもの、その両方がある種の得も言われぬ余韻を残す。2020/06/16
かえで
61
1970年代末に連載された傑作SF漫画。23世紀、火星で生まれ地球で育ったレッド・星は常に火星に恋い焦がれていた。不思議な少年、エルグと出会い、ついに火星に帰ることになったのだが…。読み終わったとき、日本の漫画にここまで優れたSFがあったのかと驚愕。火星、超能力などのSF的要素も満載で、そして生命や精神に迫ったテーマ。偉大な過去のSF作品からの影響を見事に形にし、壮大な作品に仕上げている。500ページで完結しているのが凄い。日本のアニメ・漫画に与えた影響も大きいと思う。希望と哀しさが混在したラストが良い。2015/10/18
shikashika555
46
断片的にしか知らなかった話なので今回初めて通して読む。1978年から79年にかけて「週間少女コミック」連載。 宇宙が舞台のとてもスケールの大きなSF作品。 同時に マージナルな存在とその人々の持つ心性や葛藤についてもフォーカスが当てられている。 実は10代の頃読みかじったけれどあまり乗れずに放置してしまった物語だった。 萩尾望都さんはじめ、24年組の人たちの作品を読むにはまだ子供すぎたんだろうか。 初老になって 初めて触れるのもいいものだな、と思う。 2021/10/18
Y2K☮
42
SFは概ね未来が舞台なので翻っての現在への諷刺がスタンダード。「ガンダム」や「ザンボット3」と同様、今作もヒロインであるレッド・星の属する火星人側を無条件に”正義”とはしていない。戦争に善も悪も無いから。火星で生まれて地球で育ち、清楚と破天荒を併せ持った彼女の中性的なキャラクター自体が全てを飲み込んだ位置づけ。あらゆる対立を内包し、調和させたいというメッセージか。たとえ悲惨な未来を予知されても、僅かな可能性を信じて行動すれば、運命は変わらなくても何かが変わる。萩尾望都だから描ける、儚くもしなやかな力強さ。2016/05/14
カーミン
41
基本的には、コミックは読メで登録しないのですが、この作品だけは登録させてくださいまし。我々世代では、神とあがめる萩尾望都先生の名作でございます。白い髪と真紅の瞳、そして不思議な能力を持つ少女、星(セイ)。普段はそれを隠し、地球人として暮らしていますが、彼女の心は故郷の火星と共にありました。火星人とは何か。どうやって火星人は生まれたのか。そして彼らはどこへ行くのか。その発想のスケールの大きさに引き込まれてしまいます。2017/11/30