出版社内容情報
この甘さが、私にあの頃を振り返らせる。
田舎の高校。なんにもない風景。ささやかな友情。淡い恋心。そして、すれ違い――。
10年ぶりに振り返る、あの頃。夢とか希望とかよくわからなかった、あの頃。
平凡な女子高生だった、あの頃。私が大好きだった彼女は、今どうしているんだろう。
『マスタード・チョコレート』で第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した気鋭の著者による、切なさあふれる青春物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
ケータイサイト「ヒトコト」で連載され、女性読者を中心に大きな反響を呼んだ、冬川智子氏による青春物語がコミックスで登場です。
平凡な日々の中でふと見えてくる、ささやかなズレや波立つ感情。
誰にでも思い当たる「あのとき、ああ言えば良かったのかな」という後悔。
そういったものを優しく切なく描き出した傑作、ぜひご一読ください。
…ある意味まったく別の世界を生きる、地味系自虐女子高生を描いた冬川智子氏の『水曜日』、コミックス同時発売です。合わせてどうぞ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
62
この作者のことは全く知らなかったのが、本屋でタイトルと表紙に惹かれて、購入してみた。高校生の要とはるかの友情を描いた物語。柔らかで繊細な線が印象的。私の好きな高野文子さんに似たところがある。物語自体は淡々としているけど、一つ一つのコマにいろいろな思いが込められている気がする。再読しても面白いだろう。作者の他の作品も読みたくなった。2013/05/12
ぐうぐう
16
冬川智子最新作。高校時代の友人との甘く苦い思い出を冬川智子は、ひとコマひとコマを丁寧に積み重ねるという『マスタード・チョコレート』と同じ手法で描く。ひとコマはまったく同じ大きさであり、それはそこに込められた情報や感情が平等に存在していることを表わしている。つまり、コマ割りによる演出を拒否したその手法は、しかしだからこそ、物語への、人物への、そして想いへの誠実さが逆に際立つのだ。かつて女子高生であった者であれば、誰もが心当たりあるだろうエピソードが、ひとコマの中から心に響き、痛みと共に沁みてくる。2013/02/02
宇宙のファンタじじい
11
「スイマー」あたりで懐かしすぎて悶絶。きっと作者は同世代。一番近くにいる友達だからこそ、大好きでもあり妬ましくもあり。いろいろと胸が締め付けられる思い。2013/03/06
ブレーメン
9
学生時代の、友達。あの時の全てにも等しい時間を共に過ごした人。 『あなたはずっと変わらないでいて欲しい』って、言い続けてくれた友達がいたけど、私も随分変わってしまったかもしれない。汚ない方向に(泣)。 社会人になり段々と忙しく関わる事が少なくなってしまった友人達に、久しぶりに連絡をしてみようかな。2014/02/11
玲
7
わたしも高校の途中でお弁当を一緒に食べる相手に振られたなあと思い出した。高校時代の個人差はうまく言葉にできないままどんどん大きくなっていくものだ。大人になったころやっと気持ちが言葉にできるようになる。逆に言えば気持ちを言葉にできるようになったころ大人になれるのだ。2013/03/02