出版社内容情報
出版社の敏腕編集者久木祥一郎は書道講師松原凜子と運命的な出会いを果たす。共に不倫であるがゆえにかえって愛の炎を燃え上がらせる二人だが、次第に社会から孤立していく……。解説は桐野夏生。
渡辺 淳一[ワタナベジュンイチ]
内容説明
出版社に勤務する久木は、書道講師で人妻の、凛子と出会う。逢瀬を重ねるごとに淑やかな凛子は、いつしか性の歓びの底知れない深みに囚われていく。まさしく愛にも「時分の花」がある。今、圧倒的な愛もやがてうつろう。そんな不安と恐怖にかられたふたりが、愛の頂点で選んだ、衝撃の結末とは?
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年10月~2014年4月。北海道生まれ。道立札幌医科大学卒業。医学博士。大学卒業後、母校の整形外科学教室講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞を受賞。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。2003年紫綬褒章受章、第51回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みそさざえ
4
「シャトーマルゴーといえば失楽園」といわれて、手に取ったが、それは最後のほんの些細な部分だった!以前、話題になった本なので何となくは知っていたが、なんとも哀しい人間の性か。愛を貫くための道は結局はこうなるのか?一昔前は、自ら恋愛にのめりこんでいく小説家がいたが、これも時代の変化に伴い変わっていくものだとも感じた。2017/09/14
minoru
3
ベストセラー不倫小説。途中で藤村操、阿部定、有島武郎などの挿話も出てきて話をただの官能小説にしないようにしている印象だった。閑職のおっさんが不倫して退職し、(都合よく)青酸カリを入手し心中を遂げた話。筋は簡単だけど筆がふるっていたと思う。2024/05/06
ななか
1
アイルケを読み終わり、次は失楽園だ〜と意気込み読んだけども、内容的にはほぼアイルケと変わらない流れだった。まぁ渡辺淳一の書きたいテーマが決まっているから、似たような話になるのかもしれないが。私は失楽園の方が好きだな。アイルケ失楽園を読んで、「姫始め」という言葉を覚えた。2作品通して思うのは、女性の果てしなく深く貪欲かつ末広がりでこのまま死にたいと思うような性を経験してみたいということ。2020/01/16