出版社内容情報
ささやかな、けれどかけがえのないクリスマス。画と文がともに語りかけるシリーズ最終巻はカラー頁を加え、より美しく、愛らしく
従姉のスックと犬のクイーニーとのささやかなクリスマス。画と文とが共に語りかける、カポーティの幼い日の思い出シリーズ最終作
内容説明
「イノセント・ストーリー」シリーズ決定版。最も愛された名作。
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- 評価
pure-oneの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
165
ベタですが、クリスマスなので読んでしまいました。先日読了した『あるクリスマス』から一年後の話ですが、あまりつながりは意識しなくても大丈夫かなと感じました。前作の「バディ」のちょっとひねくれた感は控えめにおさまっており、このううえなく純粋にクリスマスに関わる描写にとてもココロが温められます。正直、文化の違いなのかクリスマスに関する思いや過ごし方は、少し温度差がありますが、幼い頃に過ごしたクリスマスはいつまでも永遠には続かず、いずれはどこかで悲しい'現実'に直面してしまう切なさがなんとも言えませんでした。2018/12/25
mukimi
118
クリスマスは大好きな季節。赤と緑、金に白、色彩だけでワクワクする。虚栄心や焦燥にまみれた社会から少し離れた世界でささやかな暮らしをする少年と老婆のクリスマス。一年分のあらん限りの希望を少しずつかき集めて、他の誰とも比べることのできないあったかくて大きな幸せ(祈りのぎゅーっとつまった特製ケーキ)を完成させる。最強の幸せはずっと続かないことを知る様になった私はそのあまりの美しさに泣いた。スノードームに入れて飾っておけたらいいのに。そして狭い部屋に毎年引っ張り出してた実家の小さなクリスマスツリーを思い出した。2020/12/12
buchipanda3
115
古い田舎家でクリスマスを迎える老女と少年と一匹の物語。訳者曰く、チャーミングな短編。そう、まさにと私も読み終えて思った。物語だけでなく、装幀も幾つものカラー挿絵も愛らしい。何だか特別感のある本。話の中でも特別な日を彼女たちがどれほど待っていたのかが分かる様子が描かれる。用意することもひとつひとつ心から弾けるように楽しむ。その気持ちに懐かしさを覚えた。老女と少年は無垢で繋がっている。無垢と楽しさの日をずっと迎えられればという思いが残った。この季節が来たらウイスキー入りのフルーツケーキを思い出すと思う。2020/12/15
吉田あや
76
「ねぇ、ごらんよ!」「フルーツケーキの季節が来たよ!」7歳の僕の60才を超えてなお少女のように無垢な心を持ついとこのスックの元気な声で始まるクリスマスシーズン。傍らにはもう1人の親友、小さなラット・テリアのクイーニー。互いへのプレゼントを作る愛に満ちた部屋、光煌めくモミノキの森、貧しくともすべてが整い幸せに満ちた3人の日々の美しさが全篇を通して震えるほど眩しい。人生の其処此処で何度も思い返しては暗がりに温かな光を灯してくれたのであろうカポーティの心を象る愛そのものの存在が詰まった宝箱のような物語。2015/12/22
NAO
75
【クリスマス読書会】親戚の家で暮らす孤独な少年。彼がただ一人心を通わせたのは年老いたいとこ。貧しくても彼女と一緒なら幸せだったのに、二人のことを全く理解しない親戚たちによって二人は引き離されてしまう。心を通わせ合ったただ一人の仲間から引き離され、二度と会えなくなってしまったからこそ、二人で過ごしたクリスマスの思い出は、少年の心の中に、いつまでも清らかで美しいものとして残り続ける。2021/12/24
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