日本を捨てた男たち―フィリピンに生きる「困窮邦人」

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 288p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087814859
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

フィリピンクラブとの出合いが、フィリピンへの逃避行、無一文への転落と5人の男の運命を変えた。今や社会問題となりつつある「困窮邦人」の実態を徹底的にあぶり出す渾身のノンフィクション。第9回開高健ノンフィクション賞受賞作!

内容説明

居場所を失った日本を捨て、彼らはフィリピンへ飛んだ。待っていたのは究極の困窮生活。しかし、フィリピンは彼らを見捨てなかった。2011年第9回開高健ノンフィクション賞受賞。

目次

第1章 フィリピン人に助けられて(寝場所は教会;困窮邦人 ほか)
第2章 利用された人生(新聞配達員の希望;偽装結婚 ほか)
第3章 逃げ続ける若者(追い詰められて;逃亡犯 ほか)
第4章 海外で失った自由(障害者施設;自己責任 ほか)
第5章 掛け違えたボタン(一直線の人生;キャンディ ほか)

著者等紹介

水谷竹秀[ミズタニタケヒデ]
1975年三重県桑名市生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。ウェディング写真専門のカメラマンを経て2004年からフィリピン、「日刊マニラ新聞社」の記者。主に殺人事件や逃亡犯逮捕などの邦人事件、邦人社会に関する問題などの社会部ネタを担当している。2011年、『日本を捨てた男たち―フィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HIRO1970

74
⭐️⭐️⭐️予感はしていましたが、かなり気が滅入る内容ではありました。本書は日本の家庭崩壊が叫ばれて久しい現状を国外の新現象から切り取り、ありのままにさらけ出しています。日本は間もなく全世代が余裕の無い時代に入り始めているんだと言うことをジワリと感じさせられました。3世代4世代前の日本にもあったと思われる。貧しくとも隣人を気に掛け助け合う感覚を良しとするか、煩わしく面倒だと感じるかがアジアとの違いだと感じました。日本を捨てたのか、日本に捨てられのか、自己責任だけとは思えない社会現象を垣間見る事が出来ます。2014/03/04

Miyoshi Hirotaka

69
世界が評価し、記憶する日本人がいる。「諸国民の中の正義の人」に列された杉原千畝、台湾の教科書に載る八田與一、トルコとの友情の架け橋として記憶される山田寅次郎などだ。一方、他国でホームレスとなり、社会問題を輸出している人がいる。転落コースは様々だが、身勝手さ、弱さ、プライド、見栄などが連鎖、増幅し、ちょっとした異性問題をきっかけに道を誤り、国境を越え、「困窮邦人」となる末路は共通。しかし、それは個人の選択の結果だ。フィリピン人のホスピタリティは高く評価するが、親族すら救済を断念した人を税金で救う選択はない。2014/03/21

ころりんぱ

56
「日本を捨てた男たち」…って、フィリピンのお姉ちゃんに魅せられたて、魂を奪われてお金も無くなって帰れなくなっただけじゃないか!とむくむくと湧き上がる苛立ち。困った人を当たり前に助けるというフィリピンの国民性が、そういう人たちを生き永らえさせている。優しい国なのかもしれないけど…。それぞれの都合(女、借金苦など)で日本からフィリピンへ。行き当たりばったりでどうにかなると思って、甘えられる所には全部甘えて迷惑をかけて、それで首が回らなくなった人たち。日本政府は?福祉は?知ら〜ん!と言いたくなった。2015/02/12

kinkin

51
困窮邦人という言葉は耳にしたことはあったが、本として読んだのは初めてだった。借金から逃げるため、フィリピン女性を追い求めてフィリピンに渡るも金銭が底をつきホームレス同然の生活を送る男性達のルポ。日本に住む家族や兄弟からも援助を断られて暮らす生活や、ここに至る背景などを多くの人々の証言をもとに構成されている。格差社会、高齢化、ニートの増加 派遣切り、ブラック企業・・・多くの問題を抱えた日本と貧しい者は助け合うフィリピンという国の文化の違いも言及されており興味深く読むことが出来た。2014/03/09

Willie the Wildcat

45
心の豊かさ。家族・社会との繋がり。これらが心理的にどのように影響するのかを考える。望郷の念、も少なからず感じる。一方で、これは日本に限らず、世界(特に先進国)の共通の課題ではないかとも感じる。”困窮”という定義を、金銭面だけに限るのではなく、精神面にも拡大すると、実情はどうなのかが興味深い。登場する2カ国(厳密には3カ国)の人々から”生”への拘りを感じる。世の中の現実の一端と感じると共に、「幸せとは・・・」を改めて問い直す。2012/10/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4338486
  • ご注意事項