内容説明
『ユリシーズ』へとつながる、ジョイスの半自伝的小説。彼の主人公は神話の発明家ダイダロスの末裔である。あるいはすくなくともダイダロスの末裔であらうとする。鳥でも天使でもない者が飛ぶことができるのは、言葉によつて思考し、表現するからである。ジョイスはイギリスの属国アイルランドの一人の男の子が言葉に執着しながら育ち、やがてキリスト教の信仰から離反し、イギリスの帝国主義からもアイルランドのナショナリズムからも独立し、言葉によつて立つ文学者にならうと決意するまでを、言葉をめぐる問題を中心に言葉で書いた。自由と脱出は飛びかける者の特性である(訳者解説「空を飛ぶのは血筋のせいさ」より)。
著者等紹介
ジョイス,ジェイムズ[ジョイス,ジェイムズ][Joyce,James Augustine Aloysius]
1882‐1941。アイルランドのダブリンに生まれる。名門校クロンゴース・ウッド・コレッジに入学するが、家運の傾きで退学を余儀なくされる。1902年、ユニヴァーシティ・コレッジ・ダブリンを卒業。自身の眼病と娘の心の病気に終生苦しんだ。二十世紀の代表的作家
丸谷才一[マルヤサイイチ]
小説家。1925年鶴岡市生まれ。東京大学英文科卒(卒業論文はジョイス)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
DK-2084
4
★★★☆☆図書館本2022/01/08
きりぱい
4
幼い頃はいじらしく、青春時代はそれなりに、と成長過程で覗かせる心理葛藤は割と読めるのに、宗教論議や審美哲学が長くなると、うむー・・。スティーブン=イカロスと見ればいいのか、カトリックを捨てた辺りの心情、まだ芸術家となっていないスティーブンは何をしようとしているのか、タンディッシュとファヌルのぼやきに笑いつつ、飛んで行くのか行かないのか、読み切れないまま?終わる・・。2010/05/16
Bevel
2
太陽の下で、ぽかぽか過ごす少年時代(二章)が面白かった。三章は、芸術家じゃなくて、司祭になってしまうのじゃないかとはらはらしたが、自分にはよくわからない理由で方向転換し、最終的には、アクィナスをヘーゲルみたいに解釈する美学的立場に落ち着く。孤独に耐えて、自分以外のものは信じないみたいなことも言っていた。2011/10/15
クァボチャ
1
結構分厚いのに、後半4分の1程が注釈と後書きだったので意外に早く読めて拍子抜け。火一つに対してもカトリック思考でこんなに語れる主人公スティーブンを通して、作者ジェイムズジョイスの信心深さに驚く。談義や思考の内容にはあまり賛成できないというか、私から見ると捻くれてて前後の脈絡が無いように思われて、なぜ突然怒り出したのか、悲み始めたのか、人間関係がいつ切れたのか復縁したのか理解できないところが少し多すぎた感。2016/09/12
nobu
1
奥行きのある本でした2009/11/11
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