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内容説明
ニューヨークの地下。張り巡らされた下水道、閉鎖された地下鉄のトンネルや駅、そしてさらに深い地中に、“謎”の地下生活者たちがいた!薬物中毒、家庭崩壊、犯罪、貧困。様々な理由から“地上”を拒絶して、地下に生活する彼らの数は、三千人とも五千人とも言われ、大きなコミュニティさえ存在するという。「モグラびと」と秘かに呼ばれる彼らの真実の姿は長い間闇のヴェールに包まれたままだったが、初めて彼らの実態が明かされた。気鋭の女性ジャーナリストが危険を冒して地下に潜入、体当たりで本書を書き上げた。この闇の人間たちに衝撃を受け、翻訳に挑んだのがNY在住の渡辺葉。26歳。訳者は父(椎名誠)譲りの好奇心と行動力でこの問題作に取り組んだ。
目次
ねぐらを探して
シビル
マックの闘争
地下世界の住人たち
「地下都市」
バウワリー通り
ヘンリー巡査部長
地獄の台所
トンネル・ベイビー
家と呼べるところ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空猫
39
「半地下」の家と言えば貧困の象徴だが。これは日の当たらない地下で暮らす「もぐらびと」と呼ばれる人々のルポ。人の目につく場所では暴力にさらされるので地下にもぐる。使わなくなった地下鉄、インフラの菅。それは地下18階にも及び迷路のようで…。政府は無きモノとして切り捨てたり、金づるとして利用したり。そこに居るのは薬物、酒の依存症から知的、精神の障害者、虐待から逃げ出した子供、、人が集まればコミュができる。地下から抜け出しても一人が寂しく戻る人も。そして戻りたくない人も→2022/10/17
エリク
25
地下で生活しているホームレスが現実に存在することに驚きました。2019/12/25
DEE
10
どこかのんびりしたタイトルと表紙絵からは想像がつかないほど内容は重い。 ニューヨークの広大な地下に暮らす人々。地上の暮らしを捨て、あるいは見捨てられ、何かから逃れ、何かを求め人々は地下に潜る。次第に地下生活に慣れて居心地の良さを感じてくるとさらに深く潜り、中にはもう地上には戻らない決意をする者も出てくる。 地下は危険だ。線路には高圧線が通っているし落下事故もある。そして麻薬で壊れた人間もウヨウヨしている。 警察も地下の警備には乗り気ではない。2019/07/13
GaGa
9
97年に訳された本だが、今でも同じような状況なのだろうか?一度確立されたコミュニティを崩すのは難しいので、今も地下で暮らし続ける人がいるのであろう。他の国ではストリートチルドレンがこうした地下生活を送っていると聞く。切ない2010/05/19
はる
8
フィクションノベルとルポルタージュとドキュメンタリーが共生するような一冊。マンハッタン島の地上人しか、それもメディアでしか知らない私には、グロッタの故郷を思わせる内容だった。東京にもあるのだろうか?北京ではマンホールから出て来た倭の障害者の姿を見たことがある。洞窟にグラフィティするHOUSElessの絵描きは、世界に点在するラスコー壁画そのものではないか。→2024/05/15