内容説明
腐敗と堕落を極めるグラドニア国の首都バネッサにある聖女チェレステ孤児院には、伝説の預言があった―昔、院を寄贈した伯爵の娘で10歳のチェレステが、非道な父親が引き起こした惨事で昇天し、その時遺したものだった。時は現代、孤児院のキリスト像がある日突然倒れ、預言の一つが現実となる。さらに孤児が三人、忽然と姿を消す。折しもその時、謎の人物が各国の悪童を集め、普通の反則なら何でもOKという摩訶不思議なストリートサッカー世界選手権を開こうとしていた…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gin&Tonic
14
これはおもしろかった!パン製のキリスト像が倒れて孤児院長の頭に直撃し、孤児たちがスタンディングオベーション、というカオスな幕開けから天井に記されたラテン語の不思議な予言が現実のものとなり始め、予想だにしないフィナーレへと突っ走っていく超展開小説。おバカなノリと謎の疾走感、贅沢に使い捨てられていく数々の冗談、個性的すぎる登場人物たち、と三拍子(?)揃った奇抜な物語。最高でした!訳もイイ。ステファノ・ベンニ氏の著書、もっと邦訳版出て欲しいと切に願います。/訳者あとがきにネタバレあり。2015/03/07
ヴィオラ
9
なんだろうね?読んでいて、こまかな部分が一々楽しい。馬鹿な大人や馬鹿な社会が描いてあるのに、「批判」とか「皮肉」とか全然感じさせない(うまいぐあいに)力の抜けた文章が心地良いです。イタリアの作品って、この心地良さを感じる作品が多い気がするのは、きっと自分にあっているのかもな?とか思います。お話自体は、まったく先が読めない…というか、読んでもしょうがない展開w 変な話が好きな人ならオススメ。2013/09/05
秋良
8
パンで作られたキリスト像が倒れた瞬間、これは超展開小説だと腹をくくった。孤児の神につけられた名前が「偉大なる厄介者」ってところにセンスを感じる。2018/03/10
きゅー
4
ユーモアにあふれる文章にテンポのよい話の展開、個性的な登場人物、ストリートサッカー世界選手権、聖女チェレステにまつわる数々の逸話などなど読者を面白がらせる素材がたくさん。しかも素材のいくつかは、まったくストーリーの本筋に関係ないという贅沢仕様。非常に愉しく読みました。
hika
4
不思議な小説。架空の国グランドニア(現代イタリア)を舞台にした孤児達のストリートサッカー世界大会という大枠のなかで繰り広げられる物語は、小説的にスマートな叙述ではなく、過激な語り、突然の挿話、象徴の氾濫。そしてそれらが章ごとに反復されそのたびに膨れあがっていく。なにか(間違えを恐れず言えば)歌劇的神話的な楽しさだろうか。2009/06/19