マティス・ストーリーズ―残酷な愛の物語

マティス・ストーリーズ―残酷な愛の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 172p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087732306
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

3枚の絵が暴いていく、女と男の、残酷で優しい人生。本書はアメリカ、ドイツ、イタリア、フランスなど10数カ国語に翻訳されてベストセラーとなった。3枚のマティスの絵画―「薔薇色のヌード」「沈黙の棲む家」「黒いドア」にインスピレーションを得た著者は、優雅で残酷で魔術師のような妙技をふるって、苦悩と欲望と憧れと色彩や創造への喜びにとらわれた様々な人生を描いてみせる。このうえもなく洗練された魅惑的な筆致で、まさにマティスの絵そのままに。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoriction@感想は気まぐれに

23
言語は「絵具のように官能的」。言葉で、文字で、これだけ「色」を感じた小説は初めてかもしれない。どこを読んでも色、色、色。「灰緑色やブルーの黴がところどころにあるオレンジ」「茶褐色の歌鳥のつがい」「チョコレート色した小さな繻子」「矢車草のような濃いブルーのネクタイ」「ピンク色のコーヒーカップ」。文字を追うだけで目がチカチカする。久しぶりに読む海外作品が精緻を極めた描写が冴えるバイアットのこの作品で幸福だ。マティスのブルー、薔薇色、オレンジ、朱色…鮮やかな夢を見そう。三つの短編集。最終話「氷の部屋」が好きだ。2013/02/26

きりぱい

10
マティスの絵画をモチーフにそれぞれ中年女性の悲哀を描いた三つの短編。絵は白黒なのに内容は実に色彩にあふれている。一番色が氾濫しているのは奇抜な家政婦に意表を突かれる「芸術作品」。「氷の部屋」は、セクハラ疑惑の教授と女子学部長である主人公が話をつけるうちに・・という話で、マティス自身や絵画に迫る。よかったのは「薔薇色のヌード」。美容院で突然堰を切るように表れた爆発に目をむきながら、どこか気持ちよく、その収まりも優しくていい。あとがきに出たヴィクトリア朝が舞台の『天使と蝶』って読みたいのに翻訳ないんだなあ。2012/05/31

tona

8
アンリ・マティスの絵をテーマにした短篇3作。どれも中年女性の悲哀と「色彩」に満ちあふれている。もう少し年を重ねてから読み返したい。ちなみに、一番好きなのは、最初の「薔薇色のヌード」です。鬱憤に任せて、美容院の店内をめちゃくちゃにしてしまう描写がよかった。2014/06/27

Jun Shino

1
「薔薇色のヌード」ほかマティスの絵にちなんだ3つの短編集。短編らしい展開で、なにより色彩と無秩序の美の表現は長くて具体的。 「ピカピカ輝く破片が散らばっている。甘い香りを放つ液体が流れ、静脈のような青いのや染料のように深紅色のクリーム軟膏が水たまりになっている。深紅色の縞色のムースや、オレンジ色がかった赤褐色やコバルト色や銅色の奇妙に濃い液体が、あちこちにこぼれていた。」 明らかにマティスの色彩に入り込んでいる。とにかく色に関する描写が読む人の感覚をちくちくと刺激する。人間的なストーリーとオチにも唸る。2019/06/04

timeturner

1
思うままにならない人生を生きる人たちの話だが、なぜか読んだあとに爽快感が残る。2012/09/01

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