内容説明
探偵・畝原は、地元テレビ局の祖辺嶋の依頼で、家族旅行も兼ねて、札幌郊外にあるナチュラル・パークの視察と経営者の早山という男の身辺調査をしにいくことになった。だが家族団らんも束の間。そこに大音量をあげながら一台の車が現われた。車の男は近所にゴミ山とともに暮らしているのだという。一方で畝原は兼田というヤクザ者から行方不明になった恩師の調査を依頼される。やがて調査の中で、それぞれの悲しき過去を知ることになるのだが…。「私立探偵・畝原」シリーズ待望の文庫化!
著者等紹介
東直己[アズマナオミ]
1956年札幌生まれ。北海道大学文学部哲学科中退。土木作業員、ポスター貼り、タウン雑誌編集者などを経て、92年『探偵はバーにいる』で作家としてデビュー。2001年『残光』にて第54回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
73
ひー、とうとう既刊最新作だよ。もう後がない。本作も前作と同じくミステリ?サスペンス?の組み立てがとてもよかった。人物造形が脇の脇に至るまで一級品なので、読み心地はもう最強。なんかもう、優しいんだか、頑固なんだか、けしてタイプじゃない主人公だけど、ガッツリ畝原を経験させていただきました。時代も場所も人物までも追体験できるって、小説の醍醐味だよね。東さん、ありがとう!2022/04/30
hanchyan@つまりはそういうことだ
37
自分も部屋の中は相当にアレなので(笑)『汚部屋』っていうのはわかる気するんだけど、んじゃ、その延長が『ゴミ屋敷』になるのか?つったら、なんかまたちょっと違うような予感もあるのね。や、「まだマシ」とかじゃないぞ(笑) ともかくその、単なる怠惰を原因とする『汚部屋』と『ゴミ屋敷』が違うと感じさせるサムシングを、東さんは、哀切に満ちた一遍を著して「ほらそうやってヤな顔するけどさ、もしかしたらこういう事情かもしれないじゃん?」つって提示してんのね。想像してみようよ、ゴミの山に埋もれて、それでも清らかに咲く鈴蘭。2022/04/11
ゆみ
32
畝原シリーズ再読完了。この先がいつか出ると思っていたのだけれど。「俺」の登場はやっぱりにやりとしてしまう。 話の内容は貧困ビジネスや難病、一言では片付けられないものがたくさん盛り込まれている。 やりきれないことは多いけれど、いつも真面目な畝原がやっぱり好きだなぁ。身体に心に消えない傷を持つ幸恵の親になった畝原夫妻の勇気と優しさにいつも感動する。幸恵の成長も微笑ましい。幸恵の成長が知りたいから続きが読みたいのかもしれない。やっぱり「あじあじぃ」だな。2019/04/28
ざび
8
この半年ずっと読みつづけて来た3シリーズも残るはあと一冊。この後が心配。さて、本作は、今までと違って、みんなしゃべるしゃべる。饒舌であるが故、雰囲気が変わった感じ。それは、家族団欒が変えているのかもしれない。今回は冴子さんが引き気味なので次回は期待。2013/12/10
キューカンバー
4
楽しく読了しました。2023/11/27
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