内容説明
名作『不滅』を発表したあと、クンデラは《ランフィニ》誌にほぼ毎号エッセーを書きつづけていた。あるときにはカフカ、ヤナーチェクといった小説家、音楽家について書き、あるときにはラシュディ、シャモワゾらの南方作家の擁護のために筆をとった。さらにベルリンの壁の崩壊、チェコスロヴァキアのビロード革命、ソ連解体という、歴史の急速な大変化をまのあたりにしながら、フランスに住む東ヨーロッパ出身の小説家として言いたいこと、言うべきこと、言えるようになったことを冷静で透徹した考察の形で発表した。
目次
第1部 パニュルジュがひとを笑わせなくなる日
第2部 聖ガルタの去勢の影
第3部 ストラヴィンスキーに捧げる即興
第4部 一つの文章
第5部 失われた現在を求めて
第6部 作品と蜘蛛
第7部 一家の嫌われ者
第8部 霧のなかの道
第9部 きみ、そこはきみの家ではないのだよ