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内容説明
『砂の本』は1975年に刊行された、ボルヘスの4冊目の小説集である。収められた13の作品は、一口に短篇小説というものの、そのなかでも長短さまざまあり、いずれの場合にも、ホルヘ・ルイス・ボルヘスならではといった刻印が、あざやかに読みとれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
39
13の作品からなる短編集。「他者」を著者は分身の話と言う。つまり分身とは語り手のことであり、彼は相手(もう一人の若き自分)に夢見られている。その区別がついたのは、相手の方があり得ないものを目にしていたからであり、逆説的ではあるが確かなものを見ている語り手が夢を見ているのではないということが言えるからである。「会議」や「砂の本」では、始まりも終わりもないものに魅入られ囚われた人間が、どちらの場合も本を手放すことで一応の結末を迎える。2017/08/14
kasim
27
久々のボルヘス。ボルヘスについて何を語ればいいのか分からない。何を書いても、魅力がそれこそ砂のように自分の拙い言葉から流れ出てしまいそう。敢えて書くと、閉じた空間に見出す永遠。時間というものと普遍ということ。唯一のものを志向する話は息苦しさを感じさせることが多いのに、ボルヘスの場合はなぜか豊かに感じられる。「砂の本」が「バベルの図書館」にあったらえらいことだ。いかにもな「三十派」「円盤」も、ユーモラスな「贈賄」も、みんな好き。盲目の比喩やイメージが点在しているのが目を引いてしまう。2018/02/04
saeta
6
初ボルヘス。普段長編小説を読むことが多いが、久しぶりの短編小説集。「他者」「円盤」「砂の本」など映像化に向いてそうな作品もあり、読みながらイマジネーションがどんどん膨らんでいった。もっと色々読んでみたくなる作家だ。内容と関係ないが、古い本なので手動写植機の版なのかな?字間がパラパラ空いてて、職業柄読みながら気になって仕方なかった。2016/01/12
グラコロ
4
実家の本棚は私が31歳の頃のままフリーズしている。その頃の私は未来の私にラテンアメリカ文学を読めと宿題を出しているようだ。〝伝奇集〟は途中で挫折しているけど、近い将来〝エル・アレフ〟がこっちの本棚に加わるはず。グラコロ堂〈人生で影響を受けた100冊〉 https://bookmeter.com/users/626279/bookcases/115521732013/05/19
佐々木誠功
3
人生を共有する友に出逢えた感覚。全ての物語が自分の記憶として受け入れられる不思議さ。2015/02/17