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灰色猫のフィルム

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  • サイズ B6判/ページ数 125p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087712759
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

僕ね、母親を殺したんですよ、包丁で、すごい先の尖ったやつでもしもし?聞こえますか?三円でそのパンを分けてもらえませんか?死んでるの?どこですか、そのテント小屋ってありがとうございますねぇ?殺してみてどう?ねぇ、どうなの?違う、誤解してる、違うんだあの、アクロス・ザ・ユニバースできますか?もしもし?聞こえますか?ねぇ、君は生まれてきたいのかな?生きていたいんでしょ?僕を殺そうとするのは僕だけだ。22歳、驚くべき才能の出現。第32回すばる文学賞受賞作。

著者等紹介

天埜裕文[アマノヒロフミ]
1986年4月9日千葉県柏市生まれ。小学校2年生より不登校に。フリースクール、通信制高校を経て、美容専門学校に入学するも、半年で卒業というところで自主退学。携帯で10か月かけて仕上げた『灰色猫のフィルム』が、生まれて初めて書いた小説となる。同作で第32回すばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Roy

14
★★★★☆ 良かった。このような内容の小説が、心情描写をほとんど排除して書かれていることに驚いた。そこに漂う無気力がまた狂気にも感じられ、ただただ恐ろしい。2009/03/10

風里

13
純粋でいて屈折している。 社会に馴染めないのは誰のせいか。 縮図をモノクロフィルムで見ている様だった。2012/12/05

空崎紅茶美術館

13
書店で見かけてからずっと、この装幀のこの写真に一目ぼれして、読んでもいないのに、内容なんて知らないのに、切ない気持ちにさせられていた。まるで片思いのように。一面の乳白色は肌触りを思う。母親を殺した「僕」。洗面台の角に顔をぶつける。「駄目だ。僕だ」。一人称の語りに心は現れず、ひたすら瞳に映る世界が描写され、それがフィルムのように回るのみ。この空虚さは、言葉でなんて語りつくせない。気持ちがざわついてしまって、上手く表せない。「音楽は人間の造った最高の麻酔薬だからね、音楽は好き?(P91)」2012/01/31

tomo*tin

12
閉ざされた空間だなあというのが第一印象で、もしかしたら読者を必要としていないのではないかと思うくらいに閉塞的で、外界や他者を拒絶している物語だなあと感じた。それが著者の意図的なものなのかどうかは分からないけれど、良くも悪くもこの自意識と折り合いがついていない感じが魅力なのだろう。ただ、狂気を描くにはあからさま過ぎる部分もあるし、ラストは語りすぎな気もした。うーん…最近の純文学、私にはよく分からない。でも、嫌いなわけじゃないよ。2009/04/01

北橋 勇輝

10
ある日、母親を殺した主人公"僕"が行くあても無く、ホームレス生活が始まるというような話。何も染まっていない文章が淡々と書かれてあって鋭い。読んでいて思ったのが自然描写が上手いなと感じました。一度は聞いたことのある音を天埜さんが綺麗に書いてくれた。天埜さんのほかの作品も読んでみたいです。本書は第32回すばる文学賞受賞作。第22回三島由紀夫賞最終候補作。2012/01/15

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