出版社内容情報
長岡省吾・浜井信三・丹下健三──。広島を平和都市として復興させることに尽力した三人の人物に光を当てる。「負の遺産」を伝え続ける広島平和記念資料館の知られざる歴史に迫る骨太ノンフィクション。
石井 光太[イシイコウタ]
著・文・その他
内容説明
「75年間は草木も生えぬ―」そう囁かれた廃墟の町を、命を懸けて平和都市へと蘇らせた人びとがいた。世界平和を願い、広島に奇跡の復興をもたらした歴史に迫る、感動の群像ノンフィクション。1945年8月6日午前8時15分、B29から投下された一発の原子爆弾が、広島を死の町に変えた。残留放射能に満ちた市内に通い、原爆症になりながら、その悲劇を記録して後世に残そうとする人物がいた。のちに広島平和記念資料館の初代館長となる長岡省吾である。原爆投下の悲劇を伝え続け、いまでは世界中から年間170万人が訪れる資料館だが、彼の存在は驚くほど知られていない―。
目次
第1章 原爆投下
第2章 破壊の痕跡
第3章 広島平和記念資料館
第4章 悲劇を継ぐ
第5章 原子力の平和利用
第6章 原爆ドーム
著者等紹介
石井光太[イシイコウタ]
1977年、東京都生まれ。2005年『物乞う仏陀』で作家デビュー。ノンフィクションを中心に、小説や児童書など幅広く執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃ
125
読みながら目頭が熱くなり、何度涙を拭ったことだろう。原爆によって尊い命を奪われた人々への哀悼の念からだけではない。地獄絵と化した広島の街でいち早く平和を希求し、復興に立ち上がった人々への感動の涙だった。復興計画を検討するとき、審議会全員の一致した意見は「広島を平和都市に生まれ変わらせる」ことだったという。本作は、死の街広島を国際平和文化都市「ヒロシマ」として蘇らせた4人の男たちを描いたノンフィクション。彼らの身命を賭した努力を決して無駄にしてはいけない。読むことが私なりの鎮魂への祈り、核廃絶への道。2019/08/07
しいたけ
114
広島で被爆し原爆症になりながら、広島の復興に、平和への道筋に、何が必要かと考え信念を持ち動いた4人の男のノンフィクション。あの日の広島を描けば、必ず読みすすめることが辛い残酷な風景になる。その場所から立ち上がれる崇高さも人なら、その場所に核を落とす邪悪さも人。2018/08/08
nyaoko
94
2018年広島本屋大賞ノミネート作品。ノンフィクション作品では、私の中では恐らく、ナンバー1。原爆投下から復興した奇跡の街広島。焦土となった町を1から作り直し、被爆資料館を建てる為に様々な人達が奔走した。しかし、知らなかった。知らない事だらけだった。原爆資料館初代館長の長岡氏。何故知らなかったんだろう。彼の残した功績はもっと評価されるべきだった。いつも通る100メーター道路。この道がどうして出来たのかを知らなかった。これは死ぬまでに読まなければならない一冊。2019/01/27
どんぐり
83
「原爆」が落ちた日、広島県下にいた4人の男たち。「原爆市長」と呼ばれた浜井信三、広島平和記念公園・資料館を設計した建築家の丹下健三、原爆ドームの保存運動とともに自身被爆者と生きた高橋昭博、そして被爆後のヒロシマに入り原爆の資料収集にあたった広島平和記念資料館初代館長の長岡省吾。広島の復興を願った4人のそれぞれの足跡をたどった記録だ。堀川惠子の『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』といい、歴史に埋もれた事実を掘り起こし見せてくれる面白さがノンフィクションにはありますね。2018/09/05
ぶんこ
70
原爆投下後の広島で、自らも被爆者となりながら爆心地をさまよい、被爆した石、鉱石、瓦礫を集め研究し、後に初代資料館長になった長岡省吾さん。同じく被爆者でもあった浜井信三市長、原水爆反対運動に尽力した市役所職員高橋昭博さん。平和記念公園全体の設計を担った丹下健三さん。4人そろぞれの立場での確固とした信念のもと広島を平和な都市とするために突き進んでいました。原爆投下後の混沌とした闇市の一角のカフェで「夢を語る会」が自然発生的にでき、そこでの議論から平和記念公園も広島の平和都市構想もうまれたのが素晴らしい。2019/10/11
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