出版社内容情報
ペンシルヴェニアの小さな町を舞台に、男女三人の犯したそれぞれの罪と人生が交差する珠玉の犯罪小説。エドガー賞新人賞候補作。
【目次】
内容説明
火災現場で見つけた大金を自宅に隠したボランティア消防隊員ネイサン。末期がんの少女の夢を叶えるため病院の外へと連れ出す看護師キャリー。妻と幼い娘を同時に亡くしたアンディが狙いを定めた地獄への道連れ…。横領、誘拐、殺人。ペンシルヴェニアの寂れた町を舞台に、男女三人が犯したそれぞれの「罪」と運命が交差する。悲痛で愚かで温かい、極上の犯罪小説。エドガー賞・最優秀新人賞候補作。
著者等紹介
ジャヴォロウスキー,ケン[ジャヴォロウスキー,ケン] [Jaworowski,Ken]
シッペンスバーグ大学、ペンシルヴェニア大学を卒業。フィラデルフィアで育ち、アマチュア・ボクサーとして活躍。長年ニューヨーク・タイムズ紙で編集者を務める。戯曲はニューヨークとヨーロッパで上演されている。また文芸誌に短編小説を発表し数編がプッシュカート賞にノミネートされた。長編デビュー作となる本書がエドガー賞最優秀新人賞の最終候補に選出。現在は家族とニュージャージー州に在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
71
火事現場で巨額の札束が入った袋を家に持ち帰った男ネイサン。末期癌の少女の「海が見たい」という夢を叶えてあげようと規則を破り病院外へ連れ出す女性看護師キャリー。突然娘と妻を失った元ヤク中男アンディは破滅へ向かう。ペンシルヴェニア州の小さな町に住む3人の物語が同時進行で描かれるちょっと変ったクライム小説。その内容は、文庫本帯の『独創的で、ほろ苦く、ひねりのきいた傑作』というクリス・ウィタカーの推薦文のとおりでした。キャリーの最終章には思わず落涙。これがデビュー作のようで、次作の邦訳も期待したい。2025/09/11
stobe1904
41
【ラストベルトを舞台にしたクライムノベル】舞台はペンシルヴァニア州の閉塞感のただよう寂れた田舎町。問題を抱えながらも質素に暮らしていた男女3人がちょっとした判断の誤りから罪を犯し、不運の連鎖が始まってしまう…。罪を犯しトラブルに陥る3人の愚かさ、悲痛さ、やりきれなさが切々と迫ってくるが、根底に流れる温かさと優しさがなんとも心地よい。出会えてよかったと感じることができた素晴らしい作品。9月に二作目が出版されるようだが、ぜひ翻訳していただきたい。★★★★☆2025/08/31
maja
32
ハイウェイを走る車窓、夜の景色を眺めるキャリ-の考えに気持ちをのせてみる。ー 寂しい町にいくつか明かりが灯っているのを見ながら、生涯で二度と目にすることのない町を通り過ぎた。その考えは、妙な悲しみを誘った。それは自分が知ることも、見ることも、理解することもないすべてのものへの悲しみだ。深い闇に浮かぶ小さな光を見るとそこに住む人々を思って切ない気持ちになったー ペンシルヴェニア州ロックスバーグ、それぞれに事情も問題も抱えるがそれなりにささやかに暮していた、それまでは・・。彼らの物語もまた。2025/09/25
凸凹パレード
23
高望みせず慎ましい毎日を送る人々。錆びついた田舎町に住み続けることで心は蝕まれていくのか。ほんの少しの賢くはない選択がそうさせるのか。一瞬差した光を捕まえようとすることが悪いのか。どこへ行くのかやりきれないが、それでも人を信じている(よね?!)のがグッとくる。2025/09/16
スイ
22
同じ町に暮らす3人の、同じ数日を中心に描かれている。 それぞれの罪は、同情するものもあきれるものもあるけれど、どの人物も丁寧に描かれていたのが良かった。 でも、3人に起きることのどれも、何かのフィクションで見た気がするもので、展開も結末も新鮮さは感じなかったなぁ…。2025/09/22




