出版社内容情報
1944年ベルリン。ユダヤ人の元刑事が、ナチス親衛隊から殺人事件の捜査を命じられた。断れば死、事件解決でも死。爆撃と恐怖が支配する街で、命がけの捜査が始まる。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。
内容説明
1944年ベルリン。ユダヤ人の元敏腕刑事オッペンハイマーは突然ナチス親衛隊に連行され、女性の猟奇殺人事件の捜査を命じられる。断れば即ち死、だがもし事件を解決したとしても命の保証はない。これは賭けだ。彼は決意を胸に、捜査へ乗り出した…。連日の空襲、ナチの恐怖政治。すべてが異常なこの街で、オッペンハイマーは生き延びる道を見つけられるのか?ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。
著者等紹介
ギルバース,ハラルト[ギルバース,ハラルト] [Gilbers,Harald]
1969年生まれ。ドイツのアウグスブルクとミュンヘンの大学で、英文学と歴史学を学ぶ。その後テレビ局で文芸部編集部員として勤務。現在はフリーの舞台監督として活動している。ミュンヘン近郊のエアディング在住。デビュー作の『ゲルマニア』で、2014年フリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
390
時は1944年5月7日から6月25日まで。物語の舞台は一貫してこの間のベルリン。時あたかもノルマンディー上陸前夜から上陸後といった時期であり、ベルリンは連日連夜の空襲を受け、瓦礫の街と化していた。そんな時期にヒトラーが構想していたのが壮麗なゲルマニア都市構想であった。この壮大なまでの矛盾に満ちた世界が物語の重要な背景、あるいは物語の構想そのものである。それはすなわちナチのメタファーそのものであるからだ。事件の解決はミステリーとしては、まだるっこしくもあるが、終始一貫して緊張感が途切れることはない。2019/05/27
KAZOO
126
ドイツのしかもナチスの時代の警察小説です。主人公がユダヤ人の警察官でナチスの親衛隊員と組んで殺人事件を解決していくという話で、私は戦時下のドイツしかもベルリンがどのような状況であったのかを知ることができて非常に楽しめました。やはりドイツ人はきちんと克明に記録を残していくということでは日本人と似ている気がします。2018/05/18
藤月はな(灯れ松明の火)
104
戦況が窮し、市街にも及ぶもまだ、ナチスが負けるとは思わなかった1944年のベルリン。党に対し、優秀な子供を産むことを薦め、実行していた女性たちが殺害された。まるで切り裂きジャックかと思わせる惨たらしい姿で。そこに召集されたのが有能だが、ユダヤ人である理由で職を追われたオッペンハイマーである。ナチスの意向で命が風前の灯火になる、綱渡りの状態の緊迫感が凄まじい。そんな中、ハプニングでシュレイダーと付かず離れずの関係になるが・・・。しかし、色々、あんぽんたんなオッペンハイマーよりも肝が据わったヒルダの方が素敵だ2019/01/05
キムチ
78
終戦前夜 ナチス支配下の時間、連続娼婦猟奇殺人事件を任される刑事とタッグを組むSS将校が解明に動く。筆者は1969生のTVマン。ゲッペルスや私人日記で時代考証を経て モノクロタッチ,甘みの薄い文体は好み。ユダヤ人ながら独人妻がいる事で収容所送りを免れたが、処々で吐気を覚える金髪アーリア人から侮蔑の扱いも(うっかり、ダビデの星外しを忘れ少年に罵倒されたり)人により「考証臭」が嫌という向きあるかも。又ナチス幹部の人間描写も浅く映るかも。が市井の人々の一旦を絵画で見続け・・そんな感じ 読んで損のない読書だった。2025/02/01
佳音
70
戦争を知らない子どもである著者が様々な資料を元に当時に肉薄する力作。小学生でアンネの日記を読んで衝撃を受け、中学生になったら、フォーサイス作品、『鷲は舞い降りた』『ナヴァロンの要塞』他、鉤十字とあれば、フィクション、ノンフィクション問わず読んだ私でも満足感はある。面白かった・・・。が、ラストはなんだかな~!(・_・)と思う。2015/12/14
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- 和書
- 目の前に迫り来る大暴落