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集英社文庫 ジュール・ヴェルヌ・コレクション
チャンセラー号の筏 (改訂新版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 286p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087605716
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

1869年、帆船チャンセラー号は、アメリカからイギリスに向けて航行中、予期せぬことから、大規模な火災を起こす。鎮火の努力もむなしく船は沈没。生き残った乗客と乗組員は筏に乗り込み、漂流を始めるが…自然の猛威、飢えと渇き、そして…。フランスの軍艦で実際に起きた事件をモデルとしつつ、極限状況における人間ドラマとして、迫真の筆致で描き尽くした傑作。

著者等紹介

ヴェルヌ,ジュール[ヴェルヌ,ジュール][Verne,Jules Gabriel]
1828‐1905。フランス西部のナントに生まれる。空想科学小説の父。子供のころから冒険小説や旅行記を読みふけり、未知の世界に憧れる。少年時代の夢に、地理学、物理学等の新しい知見を盛りこんだ『気球に乗って五週間』によって、たちまち流行作家となる。以後、小説「驚異の旅」シリーズ80余編を発表。今なお、古典的名作として世界中で読み継がれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

92
小学生の頃に読んだ世界の七不思議の本に載っていたサルガッソー海のバミューダトライアングルには戦慄を覚えたが、本書はその魔の海域が舞台。しかもヴェルヌでは珍しく実際に起きたフランスの軍艦の事件をモデルにしている。そのためか、彼の作品にしては珍しく悲愴感漂う雰囲気で物語が進む。実際の冒険が苦難と苦痛に満ち、醜いことを知っている故に、彼は夢とロマンに溢れる作品を描いたのだろうか。ヴェルヌが夢溢れる物語を書くためにいつかは通らなければならなかった、極限状態に陥った人間の本当の姿を描いた作品が本書なのかもしれない。2018/04/15

taku

26
船は難破し、大海原へ筏で放り出される人々。ジェリコーの絵を思い浮かべるタイトルは、阿鼻叫喚不可避?遭難は自然との格闘。真に恐れるべきは追い詰められた人の心理と行動。死がまとわりつく状況で、理性と本能はせめぎ合う。尊厳を失わずに死を受け入れるか、おぞましき行為を許容してでも生を渇望するか。地獄絵図手前で止めたのは物語作家の抑制かな。ヴェルヌにしてはシリアスで人が死んでいく。極限での選択は何を指標とするか問うようなサバイバル小説は好き。2017/03/06

Ken05

7
130年以上も昔に書かれた、日本ではあまり知名度のない古典がこんなにも面白いとは! 手を替え品を替え、最後まで息をもつかせぬ構成と展開の妙。それを支える、細部までしっかりと描き込まれた事物と自然現象、そして人物。特にクライマックスの「カンビュセスの籤」からの劇的な終幕なんか、もう。昔のよくできた大作映画を見終えたときのような、心地よい脱力と爽快感の残る読後だった。2009/08/08

マーブル

5
ヴェルヌと言えば『海底二万里』か『十五少年漂流記』あたりが最初に出会った作品だと思う。いずれも魅力的な作品だ。本作品も同様に海を扱った作品なのだが、上記二作のどちらとも異なっている。曰くSFではないし、冒険小説と言うのも憚られる。漂流が続くうち、いつしか『十五少年』のような展開はないのだな、と気づき、そして別な緊迫が沸き上がってくる。幸いこのテーマを現代で描けば書かれてしまうようなグロテスクな描写にはならないが、そんな状況には居たくない、と切に願ってしまう。2017/06/21

ats

4
漂流して無人島で暮らして帰りました。というのなら案外多いのですが単純に漂流しただけっていうのはこれが初めてです。そもそも筏で漂流する原因も意外な物ですし、なにより「飢えと乾き」の描写がすさまじいです。捕食する側をすら食べさせようとする生命の本能には戦慄すべきものがあります。現実では神や親子の「愛」はこれらに勝ちうるのでしょうか?2009/08/19

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