集英社文庫
ビラヴド

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  • サイズ 文庫判/ページ数 527p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087603491
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

『ビラヴド』―忽然と現れた謎の若い女はそう名乗った。女の名は逃亡奴隷のセテが、自らの手で殺した娘の墓碑銘「ビラヴド(愛されし者)」と同じだった…。南北戦争前後の時代を背景に、黒人女性の半生を通して、黒人奴隷が自由の意味を知り、自由を獲得するためになめた辛酸を壮大なスケールで描いた愛と告白の物語です。本書は『ビラヴド愛されし者』の文庫化で、93年度ノーベル文学賞受賞作家の代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

83
『青い眼がほしい』『ソロモンの歌』に比べると、けっして読みやすいとはいえないノーベル賞作家の作品。1873年、124番地に住む逃亡奴隷のセテとその娘デンヴァー、そしてビラヴド。黒人がモノとして物々交換され、鞭打たれた時代、襲いかかってくる過去の記憶を寄せつけまいとするセテの物語。血塗られた黒人の歴史が語られ、「どこの誰も彼女の名前を知らない、誰も彼女を捜そうとはしない、時がたてば痕跡は残らず消えていく」黒人女性の霊歌が聞こえてくるような小説である。2020/12/30

扉のこちら側

77
再読。2015年1001冊め。【2/G1000】今年1000冊めは何にしようかと悩んだ上での選択したものの、数えなおしたら1001冊めだった。G1000の中では上位の好きな作品で、これを含むいくつかの本がリスト入りしているのでG1000を読むのを決めたくらい。モリスンやパムク等、やっぱりノーベル賞作家は他を圧倒するな。2015/08/19

ω

55
トニモリスン2作目ω とても読みごたえがあった。慄いたぜ…。 訳者のあとがきが非常にいいパターン。ノーベル賞作家への敬意を感じた。 「人から人へ伝える物語ではなかった」記憶を抹消したいと願う黒人心理を表現する一方で、この耐え難い物語をあなた(読者)だけには聞いてもらいたいという作者の気持ちがこもっている。 耐え難いものを物語に昇華させ、人々の心に強く訴えかけた素晴らしい作品。大変だったけど、これは読んで良かった。2023/01/06

ちえ

42
過去と現実と霊的な部分の物語が混じり最初は戸惑い読み辛かった。黒人達が売り買いされるものとして受けてきた仕打ちに慄く。3章で外へと踏み出したデンヴァーの変化に目を見張り同時に遠巻きに見続け救いを求める者へ差し伸べるられる多くの手を思った。一人の物語は過去の多くの者たちの物語であり〈語らなくてはならない〉〈忘れてしまいたい〉の間で揺れ続ける。その中で押し戻されながら語りの波に委ねられるようだった。難解ではあったが解説となる後書きにとても教えられた。2024/02/11

扉のこちら側

30
初読。【2/G1000】アメリカの黒人作家として初のノーベル賞作家となったモリスン。彼女の作品の根底には奴隷制・人種差別問題が常にある。しかし声高にそれを非難するわけではない。この作品では、1873年のオハイオ州・シンシナティを舞台にしている。南北戦争当時、北部に組した自由州であるが、そこにおいても南部からの逃亡奴隷は白人「所有者」から追われる身にあった。主人公、彼女を巡る人々を襲う悲劇が悪夢のように、散文のように語られる。モリスン特有の複数の視点から多義的に語られる物語は、それを容易に (続 2005/08/13

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