集英社文庫<br> 豚の戦記

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集英社文庫
豚の戦記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 276/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087602364
  • NDC分類 963
  • Cコード C0197

内容説明

イシドーロ・ビダルは一人で部屋に籠って外界から孤絶していた。歯痛のため絶えず手を口にやる癖がついてしまったからだ。こんな現状を打破しようと、仲間のいるカフェに出掛けていった。カードに負け外に出ると、若い連中が何者かを丸太や鉄棒で滅多打ちしているのを目撃する。彼の見たものは、新聞売りのドン・マヌエルの血だらけの姿だった。それは青年と老人の戦争のはじまりでもあった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

16
B 老いたりしドン・ファンの生活と意見、またはアルゼンチン版ずっこけ三人組・老人編(三人じゃないけど)か。人口の年齢バランスが崩れたブエノスアイレスを舞台に、老人と青年たちが死活をかけて対立する物語。主人公・初老のビダルが巻き込まれた、不穏な空気に包まれた都市での戦争は、登場人物たちの無駄話(女性との卑猥な話率高し)によって、その深刻さが薄れる。青年に豚と蔑まれてもなお、見た目がどうだとか、噂をされるのが嫌だとか、金が欲しいとか、青臭い話ばかりしている。つまり、青年も老人も同じなのだ。2012/11/14

パラ野

11
ブエノスアイレスを舞台にした青年たちによる政府公認の姥捨山が始まった。豚とは老人たちのこと。老人たちは知恵者のフクロウを自称するが……。政府からの年金の支払いを待っているビダル、危険な恋に身を捧げ青年たちを裏切るネリダ、小心者のダンデなどなど、クセのある登場人物たちが読ませてくれます。とびきり南米という感じではありませんが。老人は誰が決めるのか、誰を信用していいのか、密告したのは誰か、そんな独裁政権下の何かみたいな取り引きが面白い。敬老の日に読む本ではない。途中で何の日か思い出したわ。2014/09/15

Shosei

1
いつまで経っても政治経済の混迷を抜け出せないアルゼンチン。その代表的作家ですから、老人と若者の戦争という過激な題材を使って社会批判を込めたのは間違いありません。戦争どころではなく、若者が老人を一方的に襲撃する。敵側の若者らを殆ど描かないことで、作中の老人たちだけでなく読んでいる我々の恐怖もいや増します。60年代のブエノスアイレスってこれがリアルに実感されうる状況だったのでしょうか。けど陰惨さは皆無。老人たちの醜悪な性欲と食欲を露骨に描きつつ、全編ユーモアで包みこんでしまうビオイ=カサーレスにの手際に脱帽。2020/05/28

tomo6980

1
「検事が怒り狂ってビダルを責めているところだ。年をとっていることが罪だという」2018/02/27

miroku

1
凄く面白いわけじゃないのだが、妙に惹かれる。これを日本の作家が書くとかなり重苦しい作品になるのだろうなあ・・・。2010/03/27

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