内容説明
同性愛、神への反逆…。タブーへの挑戦を華麗に歌いあげた世紀末の奇書。
目次
1の歌
2の歌
3の歌
4の歌
5の歌
6の歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
95
ミシンとコウモリ傘との、解剖台のうえでの偶然の出合いのように、彼は美しい!ーー有名な一説。ここに収められた「マルドロールの歌」はイジドールが愛したダゼットへ捧げられたものなのだろう。それは愛も憎しみを含んだ、壮絶に吹き荒れる感情の奔流だ。愛が深かった分だけ、憎しみもまた深くなるのだ。それにしても本書は難解だ。だけれども、独特な比喩や言い回しが面白く、あまり意味を深く考えずに読むのが本書を楽しむ秘訣かもしれない。2017/12/24
おじいやん featuring おじいちゃん( ̄+ー ̄)
45
奇跡は頻繁に起こるしかも日常的に。 奇跡が奇跡たる所以それは気付かずにいるからに他ならない。 人は認識をし記録し日常にする。 シュルレアリスムは日常に日々置き換わり続けている。 「意味がわからない事がわからない」 早晩そうゆう時代が来るだろう。 海を越えて山形出身の哲学者の本が山形出身の大学生の手に川崎出身の一人暮らしの部屋の中、異国の地札幌で出会う! 嗚呼!何故!! 奇跡は頻繁に起こるのだ! 2017/10/08
まふ
11
シュール・リアリストの聖典のようなものらしい散文詩集。詩集であるから読み方は自由であろうが、参考までに借りて読んだ。とりとめもなく、これがホネだという部分もない。流し読みで終わる。2021/11/05
oz
11
再読。無名の青年イジドール・デュカスが遺し、没後奇跡的に再発見された『マルドロールの歌』は、仏文学史上の一つの奇跡とされる。超越的な主人公マルドロールに仮託された、「悪」に関する書物。それは生存と自由を抑圧する全ての制度(神・道徳・言語)への反逆である。しかし、それはロマン主義的な、明らかな形の悪ではない。少しずつ位相を変えて変奏され、複数化される「悪」、その意味は追いかけようとすればできるが、試みは挫折し、ただただ長大な連辞(サンタグム)の中であえぐことになる。ゴダールはしばしば作品内で本作を引用する。2014/08/10
mstr_kk
6
手もとにあるのは1991年の文庫第2刷。たぶん1995年ごろに買ったものだと思います。20年以上の時を越えて、ようやく通読できました。そのことに感無量。超高密度の散文詩なので、中学生の僕に理解できなかったのは仕方ない。人間への呪詛のポエジーを、悪のヒーロー「マルドロール」の残酷な所業として、一話完結的に語っていくというコンセプト(実際はよくも悪しくももっと雑多)で、内容的には『笑ゥせぇるすまん』みたいなしょーもなさも感じますが、さすがに表現は凝りに凝っていて、読み応えは十分でした。2018/06/26