内容説明
天才奇術師が短剣の串刺しになって死んだ。遺書には、遺体を誰にも渡さず、火葬に付すように、とある。地獄との契約を愚弄した彼は、悪魔たちの復讐を恐れていたのだ。美貌の未亡人の依頼を受けて、ハリー・ダムーアは遺体に付き添った。うろこ状の体をぎらつかせ、脂にまみれた尻尾を引きずりながら、ハリーを襲う化け物たち。肉が裂かれ、血しぶきが上がる!見るもおぞましい悪魔軍団とハリーの凄絶な闘いが始まった。《血の本》全6巻のラストを飾る表題作、生と死の逆転劇を用いて真の倒錯を描いた「死は生なればなり」ほか3篇、および「血の本」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
54
【日本の夏は、やっぱり怪談】参加持ち寄り作品。おそくなっちゃったけど。 ちょいと古さも感じないではないが、やっぱり面白く読めた。この『血の本』において、今では死語であろう「スプラッター」な作品群は「愛」と表裏一体なのが作者の凄いところ。インディオの呪いを描いた作品にさえ、そこはかとなく『愛』が滲むように感じるのは贔屓目か。表題作なんて、悪魔のひとりが魔術師スワンに抱く感情は、究極の愛・献身という他にはない。いやいや悪魔が献身とかダメでしょ、とも思うが、やっぱり心を打つよね。2020/08/21
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
9
**血の本シリーズ⑥《完結》**もう逃れることはできない。運命の対決の時が来た!地獄との契約を違え、殺害された奇術師…。地獄の悪鬼すら欺く…彼が仕掛けた死のトリックとは!!今宵、『血の本』の真実が明かされる!?(紹介文・他より)――著者のB級ホラー魂が全開でありながら、どこか寓話じみていて読み手をグイグイ引き込む傑作ホラー最終章! ⇒続き2013/12/01
Ai
8
本来は第1巻に入れておくはずの『血の本』が、なぜか最終巻に。ここまで読んできた作品群は、死者たちの語りだったのか。入れ子構造のシリーズだったのね。もったいない! とにかく血の本読了。血みどろでおなかいっぱいになりました。2023/05/29
ハルバル
5
これで「血の本」シリーズ六冊読了。非凡なイマジネーション、倒錯趣味、スプラッターセンス、独特なユーモアが素晴らしいシリーズでした。全部傑作なんでとにかく読んでほしいが、個人的ベスト3は「恐怖にまさる愉しみはない。それが他人の身にふりかかったものである限り」の名言が印象的な「腐肉の晩餐」、強烈なイマジネーションが炸裂する「丘に、町が」は外せないとして…あと一つが迷う。馬鹿馬鹿しいけど怖い「髑髏王や「 屍衣の告白」も捨てがたいけど、今は「禁じられた場所」かな…でも「マドンナ」や「夢の中」もいいし…と延々続く…2017/06/09
fried_bogy
4
圧巻!2011/04/08
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