集英社文庫<br> 夏の花

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集英社文庫
夏の花

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  • サイズ 文庫判/ページ数 196p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087520415
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

1945年8月6日、人類史上初の原爆投下に広島は死体で埋まり、傷ついた人々のうめき声で満ちた。自らも被爆した詩人・原民喜はこの人間存在の凌辱ともいえる悽惨な地獄絵に直面し、「このことを書きのこさねばならない」と固く決意する。名作「夏の花」ほか「壊滅の序曲」「廃墟から」を収録。第1回水上滝太郎賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

90
「夏の花」三部作。「壊滅の序曲」ではすぐ目の前に迫っている運命の日のことなど何も知らずにいる人々の生活が静かな調子でつづられているが、「夏の花」ではそれが一変してしまう。惨状を書き記していくにあたって、作者の筆は、興奮で饒舌になりすぎることなく抑制が効いている。次兄の息子の死体と遭遇する場面も、何の感情も籠らない冷静な視線で見ているかのような描かれた方だ。だが、このように書けるようになるまでの心情はいかばかりなものだっただろうと、抑制が効いているだけにかえってその辛さ、悲惨さが強調されている。 2019/08/08

アッキ@道央民

54
BOOK・OFFで見つけて気になって手に取った一冊。宮下奈都さんの小説でこの人の一説が引用されていて名前は聞いた事があったのですが。自身が実際に広島で被爆した体験を元に書かれた作品。淡々とした文章で、広島への原爆投下前の事から書かれているけど、戦場下の日本の日常の異常な様子も感じる。原爆投下からの描写は実に生々しく感じられる。まさしく生き地獄。生き残っても、後に原爆症で亡くなる人がいたり、本当戦争がいかに間違った事なのか改めて感じられる。平和な日常を過ごせるって本当幸せだし、大事にしていきたいな。2020/08/11

へくとぱすかる

50
子どものときから親しい人との死別が続き、たえず死の影がつきまとっていた原民喜。自殺までもはかったことのある彼を生き延びさせたのは、妻との結婚による幸福な期間だった。その最愛の人をも病気で亡くしたあと、原爆に遭遇。原爆の「語り部」として、さらに数年間を生きた。この本ではできごとの時系列順に3作を収録。「夏の花」は記録性のリアリティに傾きながらも、小説として成立させようという、ぎりぎりの線上にある作品。一見淡々とした文章に引き込まれて、自分が文庫の活字を追っていることを忘れてしまう、まさに文学である。2014/08/09

キジネコ

35
8/6ヒロシマ 8/9ナガサキ最初と最後の原爆投下。死者約24万人、約… 第二次世界大戦で亡くなられた日本の方は310万人だったという。310万人の内の24万人が投下から7日以内に亡くなられた。ヒロシマの8:15分。ナガサキの11:02分。私は未だ、此の世界に存在さえしていなかった。世界で唯一の原爆被弾国だから…、だから何だと私は自身に問う。私は、その苦しみも悲しみも、戦後延々と続く後遺症と戦禍を生き抜いた方達の思いの一片すら理解が難しい。記憶と記録をリペアしつつ後世に運ぶ舟にはならねば、と静かに思う。2024/07/09

ケイトKATE

35
広島に原子爆弾が投下された日に本書を読む。原民喜は被爆前、最愛の妻を失い死を待っていた。ところが、広島で被爆したことで自分は生きて悲惨な状況を書き残すことを悟った。『夏の花』は、被爆し破壊された広島の街と、犠牲になった人々の苦しみを記録文学として書き上げた。文章は静謐だが、被爆した広島の凄惨さが胸を締め付ける。2020/08/06

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