内容説明
学校で教わる古典とはひと味ちがう、本当の古典の面白さ。「古事記」「枕草子」「源氏物語」「平家物語」「大鏡」「蜻蛉日記」西鶴の「好色五人女」、川柳…。お聖さんが心に触れ、慈しみあたためてきた作品の数々を日常次元の中にとりこんで、おしゃべりする刺激的な古典体験。思いがけない角度から知る原典の魅力、その奥深さ。楽しみ方いろいろの古典案内。
目次
古典の森は花ざかり
『古事記』とわたし
女ごころのかぐや姫
『堤中納言物語』の姫君
『伊勢物語』の男のやさしさ
〈女なればこそ〉の『枕草子』
「つれづれ」の世界を味わう
『蜻蛉日記』に見る男女の波長
和泉式部の恋華やかに
うたごころ旅ごころ
歴史の人が生き生き動く『大鏡』
『平家物語』の人模様
日本のシンデレラ落窪の姫
五人女の恋姿
源氏の君は理想の男
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
74
面白かったです。学校で習う古典とは一味も二味も違う切り口で語られるので、古典の面白さをとことん味わうことができます。おせいさんが馴染み、大切にしてきた古典の数々が日常のおしゃべりのように語ることで、カビのような古典も生き生きしてくるんですよね。古典の魅力がとことん詰まっています。2018/06/21
吉田あや
69
お聖さんが古典の周辺を日常次元の中に取り込み、楽しくおしゃべりするようにその入り口へと導いてくれる幸せな古典の手引書。「枕草子」を始め「落窪物語」「古事記」「堤中納言物語」「伊勢物語」「徒然草」「和泉式部日記」「平家物語」「源氏物語」など、古典の大看板的タイトルがズラリ。それぞれのあらましと共に「ここがいいのよ~」と楽しいおしゃべりで身近な物語として楽しむきっかけを沢山教えてくれるので、どの物語も読みたくなる。(⇒)2021/09/08
syota
29
『古事記』から『好色五人女』まで14編の古典を田辺聖子さんが語り、それを工藤直子さんが文章化したもの。藤原道綱母と和泉式部という才色兼備の誉高い二人について、日記をもとにつっこんだ考察を行ったかと思えば、お得意(?)の下ネタで笑わせてくれたり、はたまた『源氏物語』と『平家物語』を比較して、源氏はいい女がたくさん出てくるが平家はいい男の見本帳だとか、大阪弁を交えてもう縦横無尽(^o^) おせいさんは本当に古典が好きなんだなあ、と納得した。2019/03/23
べる
21
古典を身近に感じ奥深さを知り、さらに読みたくなる案内の書。面白いところを見つけたら、そこを原文で読むと古典の呼吸がのみこめてすごく良いそうだ。好きな一節は暗唱したい。一番読みたくなったのは恋人に先立たれて弟宮が現れる和泉式部日記。全てにわたって情の深い人で女性の見本帖になる。平家物語は男の見本帖。巴御前と義仲に感動。堤中納言物語の姫君は、短い世の中で人がどう思おうと構わない、と自由に生きる新しいタイプの女性像。積極的な女性を描く西鶴の好色五人女も読みたい。源氏は本当の人生の真実は物語の中にこそあるという。2020/12/20
双海(ふたみ)
17
「虫愛づる姫君」・・・やっぱり私好み。「人は夢まぼろしのやうなる世に、たれか、とまりて、悪しきことをも見、善きをも見、思ふべき」2014/06/02