内容説明
森羅万象、とりわけ人間に対して人一倍好奇心の強い狐狸庵・遠藤周作氏。昭和26年から54年まで、文学の話から闘病生活、新婚旅行の話、学生時代のこと、ダンスや芝居の話など…折りにふれて書き綴ったエッセイ集。知られざるエピソードがたくさん入って、作家の素顔が見える。
目次
1 フランス留学から『沈黙』へ(フランスの街の夜;若い作家の疑問―作中人物の描き方について;処女出版のころ;フルシチョフ首相にあう―AA作家会議を終えて;三文文士の1年―ソ連で失敬した灰ざら;私と大学;私の書きたい女―新約聖書に発見する元型群;詩を書けなかった小説家;恨むなら友人を―私の新婚旅行;私とキリスト教)
2 ビートルズ来日から『イエスの生涯』へ(勇気あることば―世界はうつくしい;狐狸庵観望―わが住み方の記;私の初舞台;作品の背景―『沈黙』;「マクベット」にご期待あれ!―私自身のための広告;1枚のレコード―“ひとり酒場で飲む酒は”)
3 愛犬シロの死から『侍』へ(大原さんと三郎とシロとチビと;アルバイトでの生活―私の原点;小説家の海外旅行)
随想(ある照れくささ―「クリスチャンだ」と名のりにくかった事情;日くれて路遠し;お父さんのコーラス;ひと、本に会う―私の読書術;『侍』を書きおえて―私の近況;日記のなかから―作家の生活;私の長崎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
豆ぽち
21
遠藤周作の世界観がよく現れているエッセイ。信仰のことを深く悩んだが故に、あのように心響く作品が出来上がった。深い悩みや問いかけこそが、人生に彩りを添えるのだろうか。2015/09/16
うろたんし
0
「いいかい。日本の名詩のアンソロジーを文庫で買ってきたまえ。二冊を手に入れても千円にならないだろう。そのなかで君の気に入ったものを五つ、暗誦したまえ。それが散歩している時、酒をひとりで飲んでいる時、口に出るようになったら、君の人生には得なことが加わったのさ」2012/11/26
ようこ
0
巻末の解説にもあったけど、狐狸庵先生ほど不真面目じゃないものの、独特のユーモアと歴史上の人物に対するまなざしが印象的だった。趣味嗜好も幅広く活動的で、小説だけではわからない遠藤周作の人物像にふれられる豊富なエピソードでおもしろかった。2021/10/31