感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
79
大胆素敵! イナバノシロウサギ、は白くなかった! 出雲神話の舞台は出雲ではない! 古事記と日本書紀の作者を推理する! 情熱溢れる語り口の表題論文が面白い。ずいぶん昔の作品だけど。2021/05/27
しんこい
13
再読。冒頭から作者の熱気にあてられて、これは論文かロマンかと思いつつも最後まで感心、今だったら古代史専攻に進もうとか浅はかに思ったかも。名探偵だったらこの推理で決まりで良いのでしょうが、学問だとそうはいかないか。2014/06/03
雛子
12
ヤマタのオロチだのイナバのシロウサギだの国譲りだのの神話の真相って、なんとなくこんな感じだろうなぁと思ってた。神が天から降って涌いたとは信じていないから。今は梅原先生自身、ご自分の説を見直されているようなのだけど、これはこれでとても面白い論文だと思う。後発の論文から読んでしまったのが残念。「人間は、いつも真理と虚偽の中間に住んでいる」(P.25)「古い神々よ死ね。それと共に、古い神々を支えとしている、大和の豪族よほろびよ」(P.119)2013/10/09
九曜紋
10
出雲=大和起源説、因幡の白兎伝説等、どこか既視感があると思ったら、先に読んだ高田崇史作品にあった。時系列的には梅原氏のほうが早いので、梅原氏が陰に陽に後の世代にも影響を与えていることが解る。古事記の真の作者は稗田阿礼ではなく藤原不比等である、日本書紀もまた同じ、という説はかなり大胆である。梅原氏が学界からは異端視され、その業績が黙殺されるのもむべなるかな、と感じる。もっとも、古代史三部作の端緒となる本作では、書きたいが故の情熱が迸りすぎたことは著者自身もあとがきで認めており、その点は注意すべきではある。2024/07/20
みのくま
6
本書は上山春平の解説通りだろうと思う。記紀神話は藤原不比等によって捏造され、その元ネタの神々は出雲に流竄させられたとする主張がどの程度学術的に耐えられるかは分からない。しかし本書は歴史について描いたものではなく、日本精神史の神道側からのアプローチであると位置付けると途端に面白くなる。日本人がオリジナルだと信じる神道が、実は8世紀の段階ですでに作られた国家神道であったとするならば、本当のオリジナルはどこにあるのか。梅原猛のテーマはまさにそこにあるだろう。他方彼は仏教側のアプローチもある為そこも読んでいきたい2025/06/09