内容説明
十歳の夏休み。田んぼに囲まれた出雲で暮らす美雲は、東京からきたつよしと出会う。都会的な少年を一目で好きになったのだが、やがて、夏が終わるころに意外な別れが…。初恋、性への目覚め、そしてとまどい。まぶしい夏の光、虫とり、夕やけ、麦わら帽子―。子どもだったことを忘れてしまった大人のための、甘く切なく、心やさしい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
90
八雲立つ出雲を舞台に、美雲という女の子の夏休みの日々が描かれる。美しい自然と仄かな初恋。性的関心も含めた十歳少女のリアルな心情に、時にドキリとする。各章の一文字目を繋ぐと「ふ・し・ぎ・な・お・は・な・し」となる構成や、猫に置き換えた挿絵。自伝とも取れるが、著者との間に絶妙な距離を感じさせるフィクション感など、短いながらも凝った作品だ。不思議な出雲弁を操る祖父母もどこかファンタジーの世界の住人のよう。とても良かった。2019/07/31
ちょん
21
耳をすませばの月島雫が物語を書いたらこんな感じになるんじゃないかな、っていう優しいのに鋭い雰囲気漂うお話でした。版画の猫たちもいちいち可愛い❤ちょっとクセになる少女童話です。2021/08/06
花林糖
11
小学4年生の村上美雲が出雲の祖父母宅で過ごした夏のお話が主軸。偶然出会った同世代のつよしとの関係等も上手く描かれていて良かった。文章も心地良くお話の構成も凝っていて楽しく読めました。表紙と挿絵も◎。ただ最後の章はもう少しあっさりしていた方が良かったかな。2019/12/17
くるばび
2
何回目かの再読。美雲ちゃん萌え~(笑)2021/06/18
あくび
2
挿絵が素敵。良いおはなしでした。2021/03/08