集英社文庫<br> 広場の孤独・漢奸

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集英社文庫
広場の孤独・漢奸

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087488593
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

朝鮮戦争勃発にともない雪崩のように入ってくる電文を翻訳するため、木垣はある新聞社で数日前から働いている。そこには「北朝鮮軍」を“敵”と訳して何の疑いを持たぬ者がいる一方、良心に基づき反対の側に立とうとする者もいた。ある夜、彼は旧オーストリー貴族と再会し、別れた後ポケットに大金を発見する。この金は一体何か。歴史の大きな転換期にたたずむ知識人の苦悩と決断。日本の敗戦前後の上海を描く「漢奸」併収。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

162
第26回(1951年)芥川賞。 朝鮮戦争時の日本の新聞社を題材に、 東京の植民地風景を描く。 当時の日本の挫折し屈折した心情を 木垣を通して 窺われる。 選評を読むと、評価が高かったようだが、 淡々とした感じで、正直 あまり 人が見えてこない…そんな印象の作品だった。2018/06/10

kaizen@名古屋de朝活読書会

112
芥川賞】戦後の右傾化する新聞社。今まで、なぜこの本を読まなかったか。commitという単語が英語で出てきて、日本語表現をいろいろ試している。commitmentという名詞形も。深く関わることに逡巡する著者。サルトルの話題が出てきて、時代性が分かる。"Stranger in Town"という作品名がでてきて、その意訳として広場の孤独とした作品を書くところで、広場の孤独が終わるところが憎いか、微妙か。漢奸(日本読みかんかん、中国読みハンジェン)は、終戦時の上海。中国人記者が有罪に。2014/10/19

しんすけ

23
時代背景に朝鮮戦争が観える。 朝鮮戦争が終わったのは1953年。ぼくが小学校に入学した年だ。 巷では、第三次世界大戦の話も聴こえていた。 ぼくは怖くてならなかった。 街で見かける手足が無い人。盲目の人が、ぼくにとっての戦争だったからだ。 母にぼくの恐怖を語ると  しんちゃんは絶対に戦争には行かせない。わたしが身体を張っても行かせないようにする。 って言ってくれたことだけを憶えている。 『広場の孤独』を読んでいると、そのころのことが蘇ってくる。2022/05/29

sedentary

12
もし人生に国際情勢が入り込んできたとき、私も何かしらのcommitをいやおうなく強いられるかもしれない。一つの強い信念があれば迷う必要はない。が、さして思想も持たない私は。本書で語られているのは、傍観者のつもりでいたところが実は当事者であることを突き付けられた人々のいびつな葛藤である。戦後、個人は世間の波に呑まれながらも、自らそれぞれのスタンスを考えて決めなければならなかった。題の如く広場の孤独である。世界には逃げてはいけない命題がたしかに存在しているのだ。だれかに読んでほしいと、久しぶりに思った。2015/02/22

kemonoda

6
久しぶりに読みました。「漢奸」は日本敗戦前後の上海、「広場の孤独」は朝鮮戦争勃発時を舞台とした小説です。しかし今読み直してみると、書いてあることはとても現代的というか今日的です。今この時代に読みなおされるべき、読まれるべき小説だと思います。2013/09/18

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