内容説明
霧の都を跳梁跋扈する“いかれ帽子屋”!頻発する紳士たちの帽子盗難事件に、ロンドン警視庁は閉口する(でも、E・A・ポーの未発表原稿盗難のほうが問題だ…)。ところが、ロンドン塔で他殺体が発見され、その頭に盗まれた帽子が被せられていたとなると―?!「陰惨とユーモアの異様なカクテル」「密室以上の不可能トリック」と乱歩も驚嘆。異色の名探偵フェル博士が活躍する、鬼才カーの代表的傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソルト佐藤
7
帽子を盗んで変なところに置く犯罪者。そして、帽子が置かれた死体の発見。と、面白くなりそうな冒頭でよい! と、思ったら、その後は地味な捜査が続く。もう一つ二つ事件が起きずに、一つの事件をえんえんとこねくり回す。正直、中盤はたるかった。でも、2/3をすぎた所で、事件の構図が現れてくるととても面白くなってくる。Whodunitよりも実はWhatdunit的で実は現代的なかも。2019/08/17
クロモリ
5
うっかり書評を消してしまった!前半のロンドン塔の描写が雰囲気たっぷりで凄くいいです。トリックは複雑ですが、あっと驚かされ、物語性と推理両方とも高品質なカーの魅力を堪能いたしました。2012/07/10
雨月化鳥
3
初カー。ロンドン塔良いです。ミステリーとか思わなくても、とても面白かった。2014/03/25
remedy
2
再読。数あるカーの作品の中では知名度は低い方だと思うのだが、何より乱歩が選んだ一編。カーとしては怪奇色が薄い部類の作品だが何よりタイトルの「帽子収集狂事件」でまず読み手の好奇心をがっつり掴むだろう。舞台が血塗られた歴史に彩られたロンドン塔の反逆者の門とくれば御膳立ては十分。お家芸の密室トリックはなく、事件自体も地味な部類だが、本格推理に非現実なトリックよりも論理的解決に魅力を感じる向きとしては十分に楽しめる名作だと思う。ラストのフェル博士の決断も味わい深い。2022/09/24
yi120
2
まずは帽子泥棒、はて何故?というところから始まり・・後に分かる理由は、やや拍子抜け。ロンドン塔の情景が思い浮かばないので内部の動きが読み手に分かり辛いかな。犯人の御目こぼしもまあ古典ならではか。伏線の回収はさすがでございます。作品によっての好き嫌いは当然あるが、やはり古典ならではの良さは色褪せません。2019/08/30