内容説明
厳重に戸締まりされた「黄色い部屋」に侵入し、スタンジェルソン嬢に血まみれの重傷を負わせたのは誰か―?!昼なお暗い森の館で企まれた奇怪きわまる密室殺人。この恐るべき謎に挑むべく、弱冠18歳の青年記者ルールタビーユは、勇躍、世紀末のパリを出発する…。息づまるサスペンスと巧みなストーリー・テリング。『オペラ座の怪人』の作者ルルーがおくる、“密室ミステリー”の古典的名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フリスビー
18
★★★★★18歳の新聞記者、ルールタビーユがとにかくカッコいい。密室、人間消失トリックの原点だけあって、とても新鮮。複雑な人間模様がそれに華を添え、ドラマチックなミステリーになっています。「黄色い部屋」よりもむしろそれ以外の謎の方が印象的。最後の法廷へのルールタビーユの登場の格好良さは反則。100年以上前に書かれたとは思えない、これは後世に残る名作です。2014/08/28
yucchi
14
犯人ネタバレ状態で読了。犯人の運動神経スゴイな(笑) 今となっては新鮮さはないしツッコミどころは満載だけど、後世の作品の手本になったということで、読んで損はないと思う。2014/06/15
藤月はな(灯れ松明の火)
13
頭で内容を再現してみると「オペラ座の怪人」が光の陰影ならばこちらの作品は色の鮮やかさが印象的でした。探偵役の若干18歳のルールタビーユ君は一人合点しがちで負けず嫌いだけど相手に対しては誠実ないい青年。彼が裁判中に待つように言った時はどうなるかと思ったけど相手を思い遣ってのことだったのだと分かった途端、彼がますます、好きになりました。最後の黒衣の夫人の香水などの仄めかしが気になります。2012/06/15
Mzo
12
森博嗣のルーツ・ミステリィ100から(出版社は違うけど)。この時代はいろんな密室トリックや消失トリックが編み出され、読者を楽しませていたのでしょうね。現代の読者からすると目新しさはないけど、このトリックはここから始まったんだね、と思う楽しさがあります。しかし作品中で盛大に他の作品のネタバレをするのはどうなのか…まぁモルグ街とかまだらの紐とかの超有名作品だからいいのかな。2014/04/09
アルパカ
10
あの「オペラ座の怪人」の作者だと知り驚きました。ちょっと古臭くて冗長なところもあるし、密室がやたら強調されるのでどんなトリックが!と思ったら何と・・・。ちょっと拍子抜けしました。でもこの時代はこれで衝撃的だったのでは。。。ラルサンの「ステッキ」に注目し、疑問を感じた時点から真相に辿りつくところが良かったです。2018/08/18