内容説明
古い木造の民家にしか見えず、表には看板もない。ほとんど誰も存在すら知らない書店。一歩踏みこめば出迎えるのは名著珍書の山。一風変わった店の名前は「聖楽堂」。祖父が書いた『清楽ひとり語り』の版元。著者が稀代の書『螺旋教典』を発見した店。―書評のようで伝記のような、伝記のようで書評のような、掟破りの意匠が冴える新小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中居正広は野良犬に追いかけられろ・寺
42
夢枕獏(当時39歳)の決意と青春記と謎の書評。私が十代の頃『本の雑誌』に『乱読・幻書館』という題名で連載されていた。田舎に住んでいた私は都会に憧れていて、たまに街へ出かけて『本の雑誌』や『噂の眞相』を読むのが楽しみであった。この連載は楽しみに読んでいた。古本屋で本書を見つけて懐かしく思い購入。解説を読むとわかるが、当時の夢枕獏は仕事に悩んでいたようだ。そんな中で、幻の本の紹介をする予定が、自身が作家になったルーツを語り始めたのもよくわかる。かなりルーズな内容ながら面白い。紹介される本も良いが…。2015/09/25
i-miya
40
(あとがき) 1. これはいったいどういう本であろう。小説?書評?法螺話?かなりの嘘、本当の子とも。本文を先に読むように忠告しておく。 2. 実在しない書物、実在しない人物。295ページに最小限のネタばらし。友人、中沢新一の手紙。『螺旋教典』もらった。巽幽岳。(H05.02.17) 2011/03/04
か
6
上弦の月を食べる獅子に出てきた螺旋経典について知りたくて。架空の本なのにここまでの設定、すごいなあって思った。螺旋経典本当にあったらいいのになあ。2019/03/20
ぽち
2
古本屋の話・・・と思って読んでいるとどこかしれないところへつれていかれます・・・
tcut
2
仮想な古本屋の紹介というベースの中で獏さんの私小説っぽいものや寺田寅彦の怪しい書籍紹介など虚実を入り混ぜて進んでいく。かなり本当っぽいものが虚であったりして面白い。2012/08/15